研究実績の概要 |
本研究はコロナ禍の影響により、当初の予定を大幅に変更し、全工程を最終年度に行った。本研究の焦点は、コンピュータ版と紙版の英語能力試験の比較で、前者としてTOEIFL iBT、後者としてIELTS Academicを用いた。令和4年7月~11月に53名の大学生に両試験を受けてもらい(両試験の受験間隔は1カ月以内)、受験後にアンケート調査とインタビュー調査を行った。さらにオンライン上で最小英語テスト(MLT Group, 2020)とVocab Level Test (McLean & Raine, 2019)も受けてもらった。 両試験の得点については、統計分析を行った。IELTSの平均点は5.88、TOEFL iBTの平均点は64.58であった。両試験の総合点間の相関は0.79で、技能別得点間の相関はリスニング間0.56、リーディング間0.54、スピーキング間0.42、ライティング間0.57であった。アンケート調査では、両試験の受験回数、準備状況、受験時の緊張具合、難易度、時間的制約、題材理解に求められる知識レベル、問題形式に対する慣れの影響、両試験の比較などについて尋ねた。インタビュー調査では、アンケート調査の回答の気になる点を深掘りした。Vocab Level Testは、単語の意味を日本語で入力する形式なので、正誤の線上の回答もある。自動採点では不正解と判定されていたが、正解にしても良いと思われるものは手作業で修正した。修正前の得点を使うと、相関はIELTSとの間で0.24、TOEFL iBTとの間で0.38であったが、修正した得点を使うと、それぞれ0.34と0.47に上がった。最小英語テストの得点に関しては、IELTSとの間に0.40、TOEFL iBTとの間に0.43の相関があった。
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