研究課題/領域番号 |
20K00892
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
松本 修 川村学園女子大学, 文学部, 講師 (70757286)
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研究分担者 |
浅利 庸子 早稲田大学, 商学学術院, 専任講師 (70631331)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外国語教育 / e-learning / ダイナミック・アセスメント / 英文法学習 |
研究実績の概要 |
5年計画の初年度に当たる2020年度は、コンピュータによるダイナミック・アセスメント・システム開発の基礎研究として、対面式のダイナミック・アセスメントを学習者8名に行い、探索的に分析することが主たる目的であった。 ダイナミック・アセスメントは1対1のチュータリング形式を採用し、週1回約30分間、計8回行った。チュータリングでは、ダイナミック・アセスメントの理論的枠組みのもと、学習者の反応に従って暗示的な訂正フィードバックから徐々に明示的な訂正フィードバックになる段階的支援を与えていった。得られたデータを分析した結果、統語的コンテクスト、意味的コンテクストの順にヒントを出すことで学習者が正解にたどり着く事例が多く確認された。 次に、8名のうちチュータリング前に行った事前テストの結果がほぼ同じであった2名(S1, S2)に焦点を当て分析した。その結果、S1はチューターからの暗示的な訂正フィードバックにより正解にたどり着くことが多かった。一方、S2は正解にたどり着けない、もしくはS1より多くの明示的な訂正フィードバックが必要であった。8回目のチュートリアル後に行った事後テストではS1の方がS2よりも点数の伸びが大きかった。社会文化理論的に解釈すれば、2名は現在の発達水準(事前テスト)では同程度でも、他者(当該研究ではチューター)との協同のなかで問題解決に至る発達水準が異なることが明らかとなった。 これらの研究成果をまとめ、雑誌論文として投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、当初予定していた対面での実験の実施が困難であった。また、参加者数名から研究参加への辞退の申し出があった。また、発表・参加を目指していた学会がコロナウイルス感染拡大の影響を受け、中止となり、情報収集や他の研究者との意見交換等が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は昨年度収集できなかったデータを収集し、その上で、プログラムの動作のフローチャートの作成とプログラムで出題する問題を作成する。また、初年度の調査結果を踏まえ、学習支援のための段階的な訂正フィードバックのプロンプトを作成する。研究成果については、2021年度の学会で発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大により、予定していた学会がすべて中止、またはオンラインでのオープンアクセスでの開催となり、旅行費や学会参加費がかからなかった。また、本研究自体も参加者の減少などにより規模を抑えての実施となったため、当初予定よりも備品、消耗品ともに使用額が大幅に少なかった。
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