研究課題/領域番号 |
20K00904
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
吉田 真美 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80300242)
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研究分担者 |
南 博史 京都外国語大学, 国際貢献学部, 教授 (00124321)
河上 幸子 京都外国語大学, 国際貢献学部, 准教授 (30586730)
島村 典子 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30724273)
梶川 裕司 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (40281498)
中山 智子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80434645)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 複言語主義 / フィールドワーク / コミュニティエンゲージメント / 地域との連携 / アクションリサーチ / 学びの共同体 |
研究実績の概要 |
島村のプロジェクト「大学生・留学生・高校との連携による語学スタディツアー」は、2021年10月4日から2022年1月22日にかけて、京都外国語大学で中国語を専攻する大学生3名と、台湾東呉大学で日本を専攻する台湾人大学院生3名が、オンラインで外国語を用いた研究発表活動を行った。初回に交流活動を行い、計7回のミーティングを行った後、成果発表会を実施した。 南のプロジェクト「外国語専攻の学生と地域住民による町おこし」は、昨年に引き続き、京都外国語大学Community Engagement Program(正課科目としての地域連携活動:以後CEP)、学芸員資格課程、及びゼミ生によるCEP活動を実施した。越前の中山間地における地域課題である過疎、農業従事者の減少・高齢化、主にシカによる獣害、空家と若者移住促進に向けた実践的活動を実施した。 中山、吉田の「外大生による多文化・多言語絵本の読み聞かせプロジェクト」は、学生による多言語多文化絵本読み聞かせ活動を地域の図書館に加え、保育園でも行った。 河上のプロジェクト「国際系学部の学生によるグローカルな地域貢献活動」は、2021年度はコロナ禍により相次ぐ変更に対応する形で結果的に、学生10名と和歌山でのCEPを短縮・分散日程で実施しながら、オンラインによる国内外機関との交流をおこなった。具体的には8月に東京大学の日系カナダ人の歴史に関するオンライン体験活動プログラムへの参加、11月、1月、3月に和歌山県美浜町での現地研修、12月に学内展示とシーグラスボールペンワークショップの実施、2月にカナダの提携校North Island Collegeとのオンデマンド式学習およびオンライン交流を実施した。 梶川は、質問紙や質的評価方法の見直し及び調整を行った。2021年度の総括として学内報告会でお互いのプロジェクトの成果からの示唆と共通課題の考察を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
島村は、上記活動前後に参加学生に対して実施したアンケートおよび事後のインタビューを分析し、教育効果についての検証を進めている。実績内容について、2022年度に中国語教育学会全国大会で実践報告を行う予定である。 南は、昨年度も新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響があったが、その中でも継続している熊谷集落の地域活動、福井県越前町古熊谷地区での有機無農薬米作りにかかる活動を実施できた。 中山、吉田は、多言語多文化絵本や関連文献の調査・収集を順調に行っている。ふりかえりインタビューにより学生の成長や、未就学児に対する活動の影響を検証している。また、異文化間教育学会、絵本による国際理解教育のワークショップ等に参加し、発表者・参加者と交流し、専門分野の最新の知見を得ることができた。検証した。複言語教育に関して他大学の研究者とも意見交換や資料提供を相互に行い、本研究の社会的意義を確認している。 河上は、2020年度の報告書を年度をまたがる形にはなったが作成し、地域関係者や参加学生などに配布しつつ、2021年度の振り返りや報告書の準備、また2022年度のCEP(正課科目としての地域連携活動)の準備をおこなっている。 梶川は、質問紙や質的評価方法の見直し及び調整を引き続き補い、実際の評価分析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
島村は、先述のアンケート結果から、①参加者同士の連携感を強める作業の割り振り、②アイスブレイクの工夫、オンラインに起因する隔たりの解消、③教師による適宜介入・支援、討論時の発言順序の調整、語学能力による挫折感の軽減、外国語による発言意欲の醸成等の課題が確認されたため、対策を考える必要がある。 南は、今まで実施してきた活動を一つのプログラムにまとめた。2022年度はこれに基づいた活動を支援団体、熊谷区が中心となって実施予定。3年間実施したCEP(正課科目としての地域連携活動)越前に参加した学生からのアンケート、今年度の活動に参加した集落住民、一般参加のアンケート調査を実施する予定である。 中山、吉田は、最終年度の活動として、学生による地域の図書館と保育園等で多文化多言語イベントを行い、年度ごとの学生や地域の変化を検証する。学生による複言語教育活動が地域社会でどのような意義を持ち、学生自身の成長および次世代の人材育成につながるのかの総括につなげる。 河上は2020年度および2021年度の参加者にインタビューを行う予定である。 吉田(プロジェクト名:外国語教員養成課程の学生による小学校での外国語活動)はコロナ禍ということで小学校への学生の立ち入りが許可されず実施できなかった。小学校訪問が可能になった場合に向けて体制を整えたり、他の場所での開催の可能性を探る。又、最終年度の総括として全プロジェクトの成果発表と報告書の作成を計画している
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次年度使用額が生じた理由 |
島村のプロジェクトでは、コロナ禍の状況において対面での交流活動を実施することが難しかったため、オンラインに切り替えて活動を実施した。次年度は、対面での交流活動の実施を予定しており、学生や教員の交通費等に予算を利用する予定である。南のプロジェクトでは、支援団体、熊谷区が中心となって活動実施に利用する予定である。又、3年間実施したCEP(正課科目としての地域連携活動)越前に参加した学生からのアンケート、今年度の活動に参加した集落住民、一般参加のアンケート調査実施にも経費が必要となる。中山、吉田のプロジェクトでは、学生による地域の図書館と保育園等で多文化多言語イベントの実施以外に、類似した活動や講演会等への学生や教員の参加のために費用が発生すると考えられる。又、学生やイベント参加者へのアンケートやインタビュー結果を分析するためにも費用を利用する。河上のプロジェクトでは2020年度および2021年度の参加者にインタビュー実施及び分析に費用が必要発生する。吉田のプロジェクトでは、コロナ禍ということで小学校への訪問が許可されていないため実施できなかった。次年度は小学校以外での実施の可能性を探る。 総括として成果発表と報告書の作成を計画していたが、諸事情により次年度に繰り越されたため、最終年度に実施する。
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備考 |
河上幸子(編)「2020年度 (第1回 )CEP美浜町 成果報告書」京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科発行 総ページ数145頁
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