研究課題/領域番号 |
20K00905
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
石崎 博志 関西大学, 文学部, 教授 (30301394)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レアリア / 書面語 / 文語 / ポライトネス / 翻訳 / カバー曲 / 文語形態素 / 口頭表現 |
研究実績の概要 |
本研究は、レアリアと言われる実物教材を使って、中国語教育に資する教材の開発や、レアリアに記される中国語の文法的・語彙的特徴を明らかにするものである。 石崎博志(2021a)「Let It Go とJ-POPの翻訳をめぐって レアリアによる中国語教育の一環として(5)」『佛教大学中国言語文化研究』21:1-22. 全22頁においては、英語歌詞の日本語と中国語への翻訳と、桜ソングについて論じた。米国のミュージカル映画の挿入歌Let it goは、中国語と日本語の両言語に翻訳されているが、本稿では英語歌詞を座標軸として中国語と日本語の歌詞の翻訳がどのようになされているかを分析したものである。また日本の春の風物詩である桜を題材とした「桜ソング」が中華圏においてどのように翻訳されているかを考察し、中国語カバーでは台湾でのカバーを除き、桜の要素は排除されているが、桜ソングでうたわれる心情と同様の気持ちを受け手に感じさせるような工夫がなされていることを指摘した。 また石崎博志(2021b)「ポライトネス・ストラテジーとしての書面語表現 レアリアによる中国語教育の一環として(6)」2022年3月31日関西大学『東アジア文化交渉研究』第15号においては、中国のQ&Aサイトの代表である知乎から、就職活動の相談を抽出し、そこから中国の面接試験では応募者がどのような言葉遣いをしているかを分析している。その結果、応募者は文語の表現を取り入れることで、より丁寧さを言葉で演出していることを指摘した。その他、失敗や予想外の事柄を表現する中国語のメタファー表現や、自らの性格を説明する際に用いる婉曲表現などについても論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は中国に行き、各種の資料を収集して分析する予定であった。しかし、コロナウイルスの蔓延により、中国への渡航はできず、国内での出張もできない状況であったことが大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究の最終年度を迎えるため、これまでの研究を総括する予定である。そして、一冊の学術書として成果を上梓するための準備を完成させたい。しかし、本研究が始まってから一度も中国に調査ができないこともあり、細部の確認が難しい状況にある。よって中国に調査に行くために研究期間の延長を申請することも考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究予算では中国や日本国内への出張が多くを占めていたが、コロナウイルスの蔓延により旅費の支出が一切できなかった。来年度は感染状況が好転する可能性があるため、旅費およびその他の支出として執行する予定である。
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