研究課題/領域番号 |
20K00909
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鈴木 智己 旭川工業高等専門学校, 人文理数総合科, 教授 (70342441)
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研究分担者 |
櫻井 靖子 旭川工業高等専門学校, 人文理数総合科, 准教授 (50587384)
水野 優子 旭川工業高等専門学校, 人文理数総合科, 准教授 (90435397)
津波 聡 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (70435204)
山川 満夫 沖縄国際大学, 法学部, 教授 (70614634)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動機づけ / 国際指向性 / WTC |
研究実績の概要 |
2021年7月に「英語学習に対する動機づけ(19項目)」、「英語使用に対する不安(9項目)」、「国際指向性(12項目)」および「英語コミュニケーションに対する意欲(WTC)(8項目)」に関する6件法の質問紙調査を研究実践前のプリ・テストとして実施した。 その結果、同じ学校で過去に実施した調査で報告された英語学習動機づけ減退傾向は確認されず(6件法での平均値4.3:中央値3.5)、項目別で中央値を下回ったものも2項目だけであった。また、「英語使用に対する不安」では、平均値が3.4とほぼ中央値に近い結果であった。9項目中で中央値を下回ったのは「相手が英語で言っていることが理解できないととても不安だ」(2.60)、「他の生徒の方が自分より英語がよくできると思う」(2.62)、「他の人と英語で話すときは緊張する」(2.76)、「英語で話す時、自身が持てない(2.88)など5項目であった。次に「国際指向性」においても、12項目の平均値が3.52とほぼ中央値であり、中央値を下回った項目は「家族や友だちと海外の情勢や出来事について話す」(2.76)、「海外で働きたい」(2.87)、「よく海外のニュースを読んだり見たりする」(2.97)など6項目であった。 「場面ごとのWTC」では8つの場面において平均値は3.67であり、もっとも低かったものが「英語スピーチコンテストに出場する」(2.14)であり、中央値以下であったものは他3項目、逆に最も高かったのが「ネイティブの先生に休んでいた間のプリントが欲しいと言う」(4.73)、次いで「ペア・ワークの相手に今何時か訊く」(4.68)であった。 被験者の全体的なプロファイルとして想定していた動機づけ減退傾向は確認できず、他の指標でも中央値を顕著に外れるものは見られなかった。このことを踏まえて研究実践の影響を検証することとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は新型コロナ感染症拡大に伴う「緊急事態宣言」および「まん延防止等重点措置」の発出に伴い、実践授業を行う学校においては4月20日から6月20日まで、および9月6日から10月3日までの延べ3ヶ月にわたり、対面授業を取りやめてオンデマンド方式による遠隔授業に移行した。この間、【研究実績の概要】で既に述べた「英語学習に対する動機づけ」、「英語使用に対する不安」、「国際指向性」および「英語コミュニケーションに対する意欲(WTC)」について質問紙調査(Pre-test)を実施した。対面授業再開後に実践期間を15週間に短縮して実施することを検討したが、後期においても4週間の遠隔授業が行われたため、当初予定していた継続的な授業実践が困難と判断し、研究最終年度である2022年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、前年度に実践研究を行う予定であったのと同じクラスを対象として改めて質問紙調査(Pre-test)を実施した上で、6月半ばより実践授業を行う。既に前年度に調査を行っているが、実践研究の前後での変化を正しく捉えるため調査をやり直すこととする。 また、実践授業を行う前後で授業者2名の授業を録画し、英語授業分析法であるCOLT (Communicative Orientation of Language Teaching Observation Scheme)のPart Aを用いて教師と学習者が授業中にどのような活動を行っているかその内容を比較分析する。 実践授業では、高等学校検定教科書(英語コミュニケーションⅡ)を用い、20週間(90分授業x2回x18週)にわたりPPP型授業とTask-Supported Language Teachingとの融合を意識した実践を行う。とりわけPresentationの段階では、新出文法事項をoral introductionをinteractionを交えて行うこととする。この間、6つのLessonを扱い、各Lessonのパート毎にPPPの手法で授業を行い、目標文法項目を使うことを目的としたfocused-taskを行うとともにunfocused-taskも実施頻度を下げて適宜行う。 5週間の実践を終えた時点で、研究目的に沿った授業となっているか評価を行い、必要であれば授業計画の変更を行う。2023年の2月に質問紙調査のPost-testを行うとともに、質的な分析のために記述式質問紙調査と半構造化インタビューを行ってデータを纏める。 なお、コロナ禍に起因するやむを得ない理由による研究期間の延長を申請し、詳細なデータの分析・検討は、申請が認められた場合には2023年度に集中的に行い、その研究成果をまとめることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大による「緊急事態宣言」および「まん延防止等重点措置」の発出により、実践研究を行う学校において延べ3ヶ月にわたり対面授業ができない状況となり、当初予定していた計画のもとでの研究の遂行が困難となった。これにより次年度使用額が生じた。内訳としては旅費が最も影響を受けた。研究分担者による授業視察、研究に関わる情報収集のための国内学会への参加がともにできなくなり旅費を執行することができなかった。 今後は、可能な限り当初の計画に沿った研究を行うことができるように研究期間の延長を申請する予定である。
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