黒海地域は東洋史と西洋史の狭間にあり、黒海史研究は比較的研究の遅れた分野であるため、本研究には未知の領域を埋める学術的意義があった。同時に、2022年にロシア・ウクライナ戦争が勃発して、日本ではあまりなじみのない黒海地域への注目が集まったが、本研究が対象とする18世紀後半は、ロシア・トルコ・西欧諸国が黒海地域をめぐってせめぎ合うという、現代黒海国際関係の形成期と考えられ、本研究成果は、現代の問題を考察する上で重要な位置を占めている。それ故、本研究成果を踏まえたウクライナ・黒海問題に関する講演や書籍の刊行を行ったことには、社会的意義があったと考えられる。
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