研究課題/領域番号 |
20K00913
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
永原 陽子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90172551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人骨研究 / 植民地主義 / 人種主義 / 人種研究 / アフリカ |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、19世紀後半から20世紀半ばまでの文献史料(同時代の医学文献、軍人の著作物等)の分析により、南部アフリカ植民地における戦時(先住民征服戦争、反植民地蜂起の鎮圧戦争)および植民地的平時(「原住民統治」)の軍(独軍および英軍)による人骨収集および身体計測の実情を明らかにするとともに、その過程へのヨーロッパ(ドイツおよび英国)の医学者の関与について調査した。とくに「ホッテントット」「ブッシュマン」と呼ばれた人間集団とそれ以外のアフリカ諸民族との位置づけや扱いの相違を考察した。 また、この時代のヨーロッパの医学・人種研究と日本との関わりを追求した。なかでも人種研究における「アイヌ」の登場とその扱い、関連資料の出所等について調査した。日本の軍医がヨーロッパにおける人種研究に触発されて「アイヌ」調査を実施した状況や、そのデータがヨーロッパの学界に提供され、再利用される過程、また逆に、アフリカ関連のデータが日本の研究者に再利用される過程を通じて、日本とアジアの人種研究が連動していく様子を明らかにした。 2023年2月に実施した海外出張では、ナミビアにおいては20世紀初頭の植民地戦争中の虐殺と人骨収集・送付の現場で調査を行い、その記憶が今日いかに継承・再構築されているかを明らかにした。南アフリカでは、ケープタウン大学で行われた先住民の遺骨返還プロジェクト「サザランド・プロジェクト」の関係者に聴き取り調査を行い、研究者と地域住民のそれぞれがプロジェクトにいかに関わり、その中でいかなる問題が生じたかについて議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には20.21年度に実施できなかった現地調査を行うことができ、遅れを取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度であるため、本研究の前半に実施できなかった海外調査の実施を行い、全体のまとめに結び付けたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021,22年度にコロナ状況下で予定通りの海外出張等が実施できなかったため。
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