研究課題/領域番号 |
20K00915
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
シュラトフ ヤロスラブ 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30726807)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日露関係 / 日ソ関係 / 東アジア国際関係史 / ロシア近現代史 / 日本近現代史 / 地域研究 / 外交史 / 軍事史 |
研究実績の概要 |
本研究は、ロシア側をはじめとして、未公開史料の調査を重視し、マルチアーカイブ手法を積極的に活用する特徴があります。2022年度は、前年度(2021年度)に予定され、コロナウィルス感染とウクライナへの軍事侵攻によりキャンセルを余儀なくされた、海外における資料調査が、ついに実現されました。8月にジョージア(トビリシ及び近郊)の資料館で作業を行い、9月にロシア(モスクワを中心に)資料調査(外交資料館、国立学術図書館など)を実施し、極めて重要な資料を発掘することに成功しました。これらの調査、そしてこれまでの調査並びに執筆活動を行った結果、日本国内外において研究成果(論文・研究報告等)を発表することができました。 とりわけ、サンクト・ペテルブルクのヨーロッパ大学(European University, St. Petersburg)から出版された論文集に投稿した論文(ロシア語、1点)、日本の北海道大学出版会と勉誠出版から出版された論文集に投稿した論文(日本語、2点)、合計3本の原稿が公開されました。 また、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターを訪問し、文献調査を実施した上、公開講座で講演を行いました(日本語)。さらに、ウズベキスタン・タシュケントの国際会議に参加して研究報告を行い(ロシア語)、早稲田大学で開催された国際シンポジウムで研究発表をしました。 このように、コロナウィルス感染拡大により当初の研究計画が変更を余儀なくされたが、規制が解除された結果、日本国内外において資料調査・フィールドワークが再開され、積極的に研究成果を発表することができました。2023年度は、20世紀前半の日露・日ソ関係の大きな枠組みに関する研究を進め、2022年に実施した資料調査を踏まえ、特に第二次世界大戦と米ソ・日ソ関係に重点を起きながら、本研究を更に進展させていきたいと考えています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、基本的に一次史料に基づき、20世紀前半の日露・日ソ関係の多面的構造を構築する目的としており、とりわけ、未公開史料の調査を重視し、日露両国のみならず、アメリカやヨーロッパなどにおいフィールドワークを実施し、マルチアーカイブ手法を積極的に活用する特徴があります。このため、コロナウィルスの感染拡大により、海外での資料調査が不可能となり、予定されていた研究会がキャンセル・延期され、本研究の大きな妨げになりました。 しかしながら、2022年には多くの規制が解除され、海外における大規模の資料調査・フィールドワークが実施可能となりました。その結果、様々な資料調査を実施し、積極的に日本国内外において研究成果を発表することができました。 ウクライナへの軍事侵攻による悪影響は残るが、今後も海外出張を実施し、可能な限り、ロシア側の一次史料(未公開史料)やその他の資料を積極的に取り入れつつ、執筆活動を継続したいと考えていますので、本研究は順調に進展できると確信しています。
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今後の研究の推進方策 |
海外出張などの規制が解除されたため、2022年に引き続き、海外における資料調査を積極的に実施し、日本国内外の学会・研究会に参加する予定です。 具体的に、これまでの基盤に基づき、2023年夏季に欧州と旧ソ連の地域(中央アジアなど)を想定して、資料調査・フィールドワークを実施する予定です。また、ウクライナ・ロシアをめぐる情勢は不透明であるが、ロシアへの渡航が可能であれば、ロシア側の一次史料(未公開史料)に関する調査を実施したいと考えています。特に、モスクワの資料館(AVP RF, RGASPI, RGVA)で調査することが有益であると考えられます。 同時に、2023年8月に欧州の学会European Association for Japanese Studies (EAJS)で研究報告を行うことが確定しています。それ以外、米国の学会The Association for Slavic, East European, & Eurasian Studies(ASEEES)にも参加する予定です。 このように、可能な限りロシア側史料重点を置きたいが、その他の旧ソ連地域並びに欧米の資料にも視野を広げながら、海外において資料調査・フィールドワークを実施しつつ、グローバルな舞台の研究の最前線に立つ専門家と連携を深めたいと思っています。2023年度には、特に第二次世界大戦と米ソ・日ソ関係に重点を起きながら、ロシア革命以降の日露・日ソ関係の動向を明らかにするなど、詳細な側面にも注意を払い予定です。そして、積極的に研究成果を発表し、今後の研究が発展できる土台を構築したいと考えています。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、日本国内外において、未公開史料の調査を重視し、日露両国のみならず、アメリカやヨーロッパなどにおいてフィールドワークを実施し、マルチアーカイブ手法を積極的に活用する特徴があります。ところが、コロナウィルスの感染拡大とウクライナ軍事侵攻により、ロシアをはじめとして、海外での資料調査が不可能となり、予定されていた研究会がキャンセル・延期され、影響が出ていました。このため、2023年度中に残りの金額を使用して、海外出張により資料調査を実施する計画です。
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