研究課題/領域番号 |
20K00919
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
戸川 点 拓殖大学, 国際学部, 教授 (50781225)
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研究分担者 |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20312720)
岩井 淳 静岡大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (70201944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歴史教育 / 歴史学 / 歴史総合 / 日本史探究 / 世界史探究 |
研究実績の概要 |
1.①教員免許法の研究を行い「大くくり化」や「複合科目」に関する考え方を明らかにし、「複合科目」は現状ではほとんど設定されていないことなどをあきらかにした。②日本史、世界史における一般的・包括的内容については各分担者ごとに進め、合わせて「歴史総合」の教科書内容に関する検討も行った。③大学における歴史教育の実態調査および「歴史総合」など新科目に対応する歴史教育の設計、高校歴史教育の現状、教員養成に対する要望の聞き取り調査などを行った。 2. 7月31日の高大連携歴史教育研究会で企画運営に関わりながら本研究と関連するパネルを実施した。当日は小嶋、戸川が司会を担当した。パネルの報告者とタイトルは丸橋充拓「大学教養課程における探究型歴史学習の設計―新学習指導要領世代の入学までに―」、日高智彦「教職課程「指導法」から「教師教育としての歴史教育」への問い」、高橋毅「教員志望の「教養」としての歴史学―史学科院生の経験談から―」、出木美沙緒「静岡大学の教員養成と教員免許状取得に向けた活動-史学科以外の学生視点-」の4本で大学教員、大学院生、教職を学ぶ大学学部生からの報告・提言を実施した。これらの報告により本研究の内容をさらに充実化させた。 3,4月9日、6月27日、7月18日、12月27日にオンライン研究会を実施。各自の分担の進捗状況の確認し、パネルの企画運営の打ち合わせや準備報告も行った。12月27日には戸川が「歴史総合」の実践に関わり「多様な歴史観の相克をどう乗り越えるか」と題する報告を行った。 4.1月30日に東京学芸大学で研究会を実施。同大学で岩井が担当する学部向け授業「高校歴史教育における教科内容構成」を参観し、「歴史総合」に関わる模擬授業に参加したうえで、担当した学生からの聞き取りや研究協議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.本研究では①教員免許法を調査し「大くくり化」「複合科目」の考え方を明らかにする、②日本史、世界史における一般的・包括的内容について精選する、③大学や高校における歴史教育の現状や教員養成に関する要望などの調査を課題としている。①について現在の「教科の指導法」だけでは歴史学の成果を教育に反映させるには不十分で「複合科目」の設定などが必要なこと、しかし現状では「複合科目」がほとんど置かれていないことなどを明らかにした。②については各担当者がそれぞれ精選を進めている。③の大学における歴史教育の現状については7月31日のパネルの実施など調査と報告を進めることができた。一方、高校歴史教育の現状調査についてはオンラインで静岡県の教員から簡単な聞き取りが行えた程度であった。次年度、より多くの調査を行いたい。 2.当初より計画していた台湾国家教育研究院を訪問し、自国史・東アジア史・世界史を統合する台湾の歴史教育について調査する計画についてはコロナ禍の影響により実施できなかった。次年度実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.本研究の中心となる①教員免許法を調査し「大くくり化」「複合科目」の考え方を明らかにする、②日本史、世界史における一般的・包括的内容について精選する、③大学や高校における歴史教育の現状や教員養成に関する要望などの調査、のうち、①についてはオンライン研究会などを通して研究を進め、小嶋を中心に報告や論文化を準備する。②については今年度に引き続き担当者ごとの調査を進め、精選した用語集やテキスト案の作成などを目指したい。これらについてはオンライン研究会やメールでのやりとりを通して随時進捗状況を確認していく。 2.③の大学や高校における歴史教育については高大連携歴史教育研究会第5部会に参加しながら調査を行い、パネルの企画にも関わり成果を明らかにしていく。また同会やパネルの場を活用し、より広く各大学や高校における状況について情報を収集する。高校歴史教育の聞き取りについてはオンライン、学校訪問などいずれかの方法で可能な範囲で調査を進める予定である。 3.今年度は新学習指導要領に基づく「日本史探究」「世界史探究」などの教科書が入手可能となる。「歴史総合」と合わせて教科書の分析・研究を行い、教科書で一般的・包括的内容がどのようなものとなっているか、新しい教科書を教えるために教員に必要とされる力がどのようなものなのかなどを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、当初計画していた台湾における歴史教育の調査旅行を延期したこと、同じくコロナ禍のため、国内の大学や高校を訪問しての聞き取り調査が十分にはできなかったためである。 今年度は夏季休業中の期間を利用し、台湾を訪問し、歴史教育の調査を行う計画である。また10月以降山形県、福島県の大学、高校を訪問し聞き取り調査を実施する予定である。 さらに関連する書籍、物品なども購入する。
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