研究実績の概要 |
本研究は新学習指導要領により大きく変わった高校歴史教育に対応できる教員養成をいかに行うか、思考力養成を重視する新しい歴史教育に対応する大学における教職科目の開発を目指すものである。そのために1,教員免許法を調査して教職科目の「大くくり化」「複合科目」などの考え方をあきらかにする。2,日本史や世界史における一般的・包括的な内容を精選する。3,大学や高校における歴史教育の現状や教員養成に関する要望などを聞き取り教職科目開発に反映させていく、といった活動を行ってきた。1については小嶋茂稔を中心に研究を進め、「複合科目」の設定が重要であることを確認している。その成果は今年度、論文「歴史総合の時代の教員養成」として公表したほか日本歴史学協会・日本学術会議主催シンポジウムや高大連携歴史教育研究会第5部会のシンポジウムで報告している。2については具体的な歴史用語の精選などには至らなかったが、探究科目の内容やあり方、歴史総合との関係について検討を進め、その成果を戸川点は「「歴史総合」と「日本史探究」」、岩井淳は「「歴史総合」と時代区分」などの論文として公表している。3についてはこれまでに静岡県の高校教員3名、栃木県の高校教員1名からの聞き取りを実施し、琉球大学で行われている大学の授業科目「歴史総合」や琉球大学の歴史教育に関する聞き取りを2回に行っている。今年度はさらに福岡県の高校教員1名、中学教員1名の授業見学及び聞き取り調査を行った。そのほか台湾を訪問し、台湾国家教育研究院と共同で研究会を開催した。台湾側から台湾における歴史教育の状況に関する報告をしてもらうとともに日本側から戸川点「日本における歴史教育の現状と課題」、岩井淳「日台の歴史教育を比較する」、小嶋茂稔「新しい高校歴史教育の段階における日本の教員養成の課題」の報告を行い、日台双方の歴史教育の課題について意見交換を行った。
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