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2021 年度 実施状況報告書

植民地期インドをめぐる思想の諸相:ヨーロッパの視点とインドの視点の交差

研究課題

研究課題/領域番号 20K00926
研究機関金沢大学

研究代表者

苅谷 千尋  金沢大学, 高大接続コア・センター, 特任助教 (30568994)

研究分担者 中澤 信彦  関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
角田 俊男  武蔵大学, 人文学部, 教授 (20227458)
安川 隆司  東京経済大学, 経済学部, 教授 (40230213)
長尾 明日香  大阪市立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (90758319)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードブリテン / インド / 文明と野蛮 / 富の流出 / 功利主義 / 教育 / 国際法 / 貧困
研究実績の概要

本研究は、イギリスを代表とするヨーロッパの諸思想が、17-20世紀にわたる植民地期インドにおいてどのように利用され、受容され、変容していったのかを明らかにするものである。2021年度は、2020年度に引き続き、政治思想(苅谷)、経済思想(中澤、安川、長尾)、国際思想(角田、長尾、苅谷)の3つのレイヤーについて、それぞれに研究を進め、その成果の一部を学会、紀要などで公表した。
メンバーの知見を共有するために、2022年3月24日にオンライン研究会を開き、角田と長尾が研究報告をおこない、他の分担者は進捗状況を報告した。角田は、インドに生まれ育ち、ヨーロッパ思想の受容に大きな役割を果たした、ラムモーハン・ローイ(Rammohun Roy 1774-1833年)が、『両インド史』の記述に学び、インド古代宗教の固有の伝統に「自由な公衆」の<啓蒙の哲学>を読み取り、同時代人に対して、偏狭な宗派心や習俗からの啓蒙を行っていたと解す。また、長尾は、第三次アングロマラーター戦争の捕獲物をめぐり、イギリス東インド会社とインド諸勢力との間の戦争において生じた陸戦捕獲物の獲得と分配に関する法規の有り様とその適用について論じた。研究会を通して、個々の研究の課題点を析出、共有するとともに、レイヤー間の重なりや、ヨーロッパとインド間の受容=応答関係を意識した調整を図った。
この他、研究代表者の苅谷が翻訳にかかわった、C. H. アレクサンドロヴィッチの論集『グローバル・ヒストリーと国際法』の合評会(公開研究会)を、関西大学法学研究所、「対外的脅威」共同研究(科研費基盤C)、英国学派研究会との共催で実施し、主に今日の国際法学あるいは非ヨーロッパ文化圏の観点から再考することにより、国際思想のレイヤーについて検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

各自の研究は、海外調査を除けば、おおむね予定通り、実施できており、その成果は学会や紀要などで公表できた。
一方で、2021年度も、2020年度に引き続き、新型コロナウイルスへの対応を要し、申請時のエフォートに従った研究活動を行なうことが困難だった。昨年度に比べて、新型コロナウイルスへの対応に慣れたとはいえ、オンラインの研究会は、対面での研究会に比べて、コミュニケーションが十分にとれておらず、メンバーの個別研究を踏まえた、総合的な知見のとりまとめに着手できていない点が課題である。

今後の研究の推進方策

メンバーの研究成果が出始めているため、2022年度は、各レイヤーの特徴を整理するとともに、ヨーロッパとインド間の応答、視点の交差という観点から、各研究をまとめたい。感染状況が緩和しつつあるため(2022年5月現在)、2022年度は、対面での研究会を複数、実施するとともに、着手できていない海外調査もおこないたい。また、当該分野の学会のセッションに応募し、メンバー外の専門家からコメントを得て、最終成果に向けた方向性を確定させたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの流行により、海外渡航ができない点が主たる理由である。また、メンバー間の研究会や国内学会においても、オンライン開催が主流となっているため、当初予定していた旅費を使用できていない。2022年5月現在、感染状況が緩和しつつあるため、2022年度は、上記の経費を実施できる見込みである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 『両インド史』とラムモーハン・ローイの市民宗教2022

    • 著者名/発表者名
      角田 俊男
    • 雑誌名

      武蔵大学人文学会雑誌

      巻: 第53巻第3・4号 ページ: 129-168

  • [雑誌論文] 植民地的言説の「外側」:自治体としてのボンベイ市の起源2022

    • 著者名/発表者名
      長尾 明日香
    • 雑誌名

      南アジア 民主政治と国際政治のダイナミズム(KINDAS研究グループ2最終成果報告書)

      巻: 0 ページ: 136-145

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 19世紀インドにおける経済学教育:ボンベイ管区を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      長尾 明日香
    • 雑誌名

      RINDASワーキングペーパー

      巻: 33 ページ: 1-26

  • [雑誌論文] 人間本性・共感・習俗:バーク『崇高と美の探究』の社会思想2022

    • 著者名/発表者名
      中澤 信彦
    • 雑誌名

      経済学研究(愛知学院大学経済学会)

      巻: 第9巻第2号 ページ: 37-52

  • [雑誌論文] ヒンドゥーと「丘の部族」 : J. S. ミルのインド論に関する一考察2022

    • 著者名/発表者名
      安川 隆司
    • 雑誌名

      東京経大学会誌(経済学)

      巻: 313 ページ: 247-265

  • [雑誌論文] Burke’s Nuanced Praise of Smith's Theory of Moral Sentiments: The Religious Character of Burke's Notion of the Sublime in His Philosophical Enquiry2021

    • 著者名/発表者名
      Nakazawa, Nobuhiko
    • 雑誌名

      Studies in Burke and His Time

      巻: 313 ページ: 72-84

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 植民地インドのナラティヴ:バークとマッキントッシュ2021

    • 著者名/発表者名
      苅谷 千尋
    • 学会等名
      日本アイルランド協会
    • 招待講演
  • [学会発表] 人間本性・共感・習俗─バーク『崇高と美の探究』の社会思想─2021

    • 著者名/発表者名
      中澤 信彦
    • 学会等名
      日本イギリス哲学会

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公開日: 2022-12-28  

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