本研究では、『朝鮮王朝実録』『承政院日記』(いずれもユネスコ世界記憶遺産)のみならず、『議政府謄録』『備辺司謄録』『勅使謄録』『朝賀謄録』『同文彙考』など各官庁の謄録類を精査し、17世紀における朝鮮国王と儒者官僚の対明/対清観を宮中儀礼の側面から解明した。 また、鳥銃(鉄砲)3,000挺の献上という対清「軍事協力」後に聖祖康熙帝が朝鮮の歳幣(年例の朝貢物品)を減免し、ガルダン征討と時を同じくして朝鮮の王世子冊封を承認したことも明らかにした。清朝側の史料の制約上、これまで日本・韓国の歴史学界では看過されてきたが、ジュンガルの動向は朝清関係の変数であったと考えられる。
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