研究課題/領域番号 |
20K00929
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
鈴木 英明 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 奴隷 / ペルシア湾 / 労働史 / 奴隷廃止 |
研究実績の概要 |
令和5年度は収集した資料の整理を行った。これまで判別できなかった奴隷のアフリカ大陸における出身地に関して、他の史料や研究と突き合わせることで、具体的な比定ができるようになった。これにより、従来、アフリカ大陸東部について、ある程度のサンプル数を確保できていたが、北東アフリカについてもサンプル数が増加し、彼らだけを取り出して分析することが可能になった。 令和5年度に刊行した研究業績としては、"African Slaves and the Persian Gulf"Oxford Research Encyclopedia of African Historyがある。本書はオンラインの百科事典の体裁だが、査読を経ている。本研究対象をペルシア湾史の長い時間軸のなかに位置づけることができた。「インド洋海域を捉え直す――ネットワーク論再考」『社会経済史学』89-4では奴隷研究をインド洋海域史のなかに位置づけた。 また、令和5年度は以下の研究報告を行った。「インド洋海域世界崩壊説によせて―ボンベイの労働者たちの季節性―」と題する口頭発表を「近代東南アジアにおける社会経済の変容と季節性」2023年度第2回研究会で報告し、本研究の対象とするペルシア湾の奴隷たちと同時期のインド亜大陸における賃金労働者について考察する機会を得た。これは本研究対象を同時代の世界史的文脈に位置づけるうえで有効な機会となった。海外では、LEGACIES OF RACE AND SLAVERY IN THE ATLANTIC AND INDIAN OCEANS会議において、“Africans” Muwallad and the Myth of Mild Slavery: Testimonies of the Enslaved in the Persian Gulf, 1887-1949を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は資料の整理を大幅に進めることができ、また、本研究対象について、インド洋の奴隷研究に関する会議で報告をし、専門的な観点からの質疑を通して、知見を深めることができた。また他報告では本研究対象をより広い文脈のなかに位置づけることに資する研究報告や論文の刊行ができた。以上に鑑みるに、(2)おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は研究最終年度に当たる。研究成果の更なる公表を目指したい。たとえば、インド洋研究の専門誌として新たに刊行されたデューク大学出版のMonsoonなどを念頭に置いている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は資料の整理に時間を要し、調査を実施できなかった。このために、次年度使用額が発生した。令和6年度は、昨年度に予定していたペルシア湾における踏査を実施し、また、最終年度に当たるために、海外での研究報告を計画している。
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