現代人は、インターネットを活用して必要な書籍や情報を手に入れたり、地域のカルチャーセンターで好みの教室に通ったりと、様々なルートで知識を獲得することができる。しかし、そうした文化環境に乏しい江戸時代の在村知識人は、いかなる手段で知識を獲得したのか。また、彼らは知的特権層(工藤家ならば東本願寺の学僧たち)から与えられる知識をひたすら受動的に受け取ったのか、それとも何らかの批判精神を鍛え上げていたのか。本研究では、以上のような観点から、知識人にとって普遍的な課題ともいえる、より高次な知識を獲得する工夫や、得た知識を批判的に検証する可能性に迫ってみた。
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