研究課題/領域番号 |
20K00954
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
三宅 徹誠 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80449363)
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研究分担者 |
服部 光真 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00746498)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 寺院史料 / 円成寺 / 忍辱山流 / 聖教 / 版木 |
研究実績の概要 |
聖教、木札、版木などの寺院資料の調査研究から寺院史料全体の構造を明らかにすべく、円成寺所蔵資料を調査しているが、今年度は円成寺聖教1345点の調査を実施し、資料撮影、調書作成(法量計測等)を行った。事相に関する文献、諸尊法などが中心である。 中世書写の聖教では、東大寺持宝院僧侶とみられる長印(?~1582)所持の諸尊法などが見出された。 昨年度、服部光真・三宅徹誠「資料紹介 円成寺聖教にみえる十輪院関係資料」(元興寺文化財研究所編『元興寺文化財研究所研究報告2020』、元興寺文化財研究所、2021年3月)において、円成寺聖教『降三世護摩私記』と『軍荼利護摩私記・金剛夜叉護摩私記』を紹介し、17世紀初頭の十輪院で弘法大師正命日の前日に五壇護摩供が修されていたことを述べたが、今年度は新たに『大威徳護摩私記』が確認でき、五大明王の護摩私記の内、4点の存在が明らかとなった。それについては服部光真が「近世前期の都市寺院における惣寺と寺僧 ―南都十輪院と瓦竈法寿庵―」で触れた。 10月下旬より11月中旬まで元興寺法輪館にて開催された「ならまちの地蔵霊場 十輪院の歴史と信仰」では、『降三世護摩私記』などを展示し、上記のような研究成果を公表できた。 また、三宅徹誠は、聖教調査に関して、全史料協近畿部会第158回例会にて「聖教調査事例報告―近世版本『大般若波羅蜜多経』を中心に―」という題目で発表を行い、事例を挙げながら近世地域史料としての可能性について言及した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度コロナ禍のため調査回数が減ったことによる。今年度は、かなりの点数の円成寺聖教を調査することができ、順調と思われる段階まであと一歩というところである。
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今後の研究の推進方策 |
聖教3000点弱の悉皆調査を継続して行い、既に紹介されている古文書・南無仏太子像の像内納入文書約70点、版木・巡礼札・祈祷札・棟札約50点、堂内墨書約10件についても可能であれば調査する。 今年度の調査成果については『元興寺文化財研究所研究報告』などにて報告する。
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