研究課題/領域番号 |
20K00954
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
三宅 徹誠 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80449363)
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研究分担者 |
服部 光真 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00746498)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 円成寺 / 忍辱山流 / 聖教 / 版木 |
研究実績の概要 |
円成寺聖教157点の調査を実施、資料の撮影、調書の作成(法量計測等)を行った。事相に関する文献が中心であった。 中世書写の聖教では、天正18年(1590)11月4日に順胤が書写した「愛染王秘伝」(円成寺聖教経蔵12-20)が見出された。順胤は、十輪院所蔵「地蔵堂再興棟札」に名が見え、17世紀初頭には奈良十輪院の年預であることが確認できる。元和2年(1616)の十輪院における五壇護摩供の際には、「降三世護摩供私記」(円成寺聖教経蔵21-37)などを書写していることが知られる。また、同名の「愛染王秘伝」(円成寺聖教経蔵21-36)を同年11月7日に書写している。同本を2部書写した理由については未詳だが、十輪院史を解明する上で検討すべき史料であろう。 また、龍肝の奥書を持つ聖教が多数見出された。龍肝は18~19世紀頃の真言宗の学僧で、字を智隆房とする。龍肝については、十輪院に位牌が祀られており、そこに「前教王院贈権僧正上人龍肝」とあり、仁和寺教王院の僧侶であったことが知られる。また、十輪院所蔵聖教中に龍肝の名が見え、そこから円成寺知恩院などで伝法を行うなど円成寺との関係が確認できる。龍肝についてはいまだ詳細にわかっておらず、円成寺聖教の分析により彼の履歴が明らかになる可能性が考えられる。 大和国の中世寺院史に関わって、服部光真が『市大日本史』に「新刊紹介 酒井紀美著『人物叢書 経覚』(吉川弘文館)19年12月刊」を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍等の理由により今年度調査回数が減ったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
聖教3000点弱の悉皆調査を完了し、目録を作成し報告書を刊行を目指す。既に紹介されている古文書・南無仏太子像の像内納入文書約70点、版木・巡礼札・祈祷札・棟札約50点、堂内墨書約10件についても可能であれば調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍等により調査日数が減少し旅費、人件費・謝金の執行が少なかったことによる。 減少分の調査を令和5年度に行う予定である。
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