研究課題/領域番号 |
20K00958
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
簗瀬 大輔 群馬県立女子大学, 群馬学センター, 准教授 (90822924)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 古墳 |
研究実績の概要 |
桂萱大塚(前橋市)、文殊山古墳(太田市)、大藪城山古墳(吉岡町)、四戸古墳(東吾妻町)など7件の基礎調査を実施した。また、第3回巡検(2022.5.21)として「前橋台地の崖線と古墳のある村」をテーマに、旧天川二子山古墳と旧天川村等の景観を、第4回巡検(2022.8.26-28)として「畿内における古墳の二次的利用」をテーマに、叡福寺及び叡福寺北古墳(太子町等の景観を、第5回巡検(2023.1.21~22)では「吉備地域における古墳の二次的利用」をテーマに、造山古墳(岡山市)、両宮山古墳(赤磐市)等の景観を視察した。 基礎調査に基づく研究小括として、第6回研究会(2022.5.21/前橋市中央公民館)では、鈴木英恵「初山まいりの習俗と初山団扇」、田中健司「地誌に見る江戸近郊の塚と古墳」、長谷川明則「古墳の在地的名称の考察―『群馬県古墳総覧』掲載古墳の分析―」を、第7回研究会(2022.7.16/前橋市中央公民館)では、深澤敦仁「古墳時代の人々が意識した領域について考える」を、第8回研究会(2023.1.28/群馬県立女子大学)では、渡邊浩貴「古墳の在地領主―中世武家本拠と言説形成―」、川口亮「古墳を再利用した中世墓域 ―伊勢崎市西上之宮遺跡の調査成果から―」が報告された。 重点調査「近世の地域社会と古墳景観」に基づく研究小括として、「古墳の履歴書 ―近世の地域社会と古墳景観―」をテーマに公開シンポジウム(2022.10.30/群馬県立女子大学)を開催し、小嶋圭「古墳に神仏を祀るということ」、佐藤有「近世村落空間のなかの古墳」、簗瀬大輔「天明の打ち毀しと古墳に結集する人々」、田中健司「江戸の大衆と名所化する古墳」、佐藤喜久一郎「豊城入彦命がいなかったころ」、小川卓也「発掘調査で見つかった信仰の場としての古墳」(各副題省略)研究報告と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は古墳を擁する特定の地域社会において、古墳がコミュティ形成、環境基盤形成、経済循環を支えるときの社会基盤、あるいは地域資本のひとつになっていたことを実証しようとするものである。そのため、(1)基礎調査と重点調査(「古墳県群馬」における古墳に由来する文化的景観の資料収集、2020~22年度)、(2)基礎調査に基づく研究小括(古墳の履歴書研究会による研究報告、2020~22年度)、(3)重点調査に基づく研究小括(公開シンポジウム、2021年度)、(4)研究の総括と公表―『古墳の履歴書調査報告書』(古墳に由来する文化的景観資料集)の編集・刊行―、2022年度)の4つの工程を柱に調査研究計画を立て実施している。 ところが、新型コロナウィルス感染症の社会的蔓延の影響で、初年度に当たる2020年度活動がほぼ実施できなかったことから、概ね1年ずつ繰り延べで実施せざるを得ない状況であったが、2022年度末に研究期間の1年延長を許可されたところである。 (1)基礎調査と重点調査は、2022年度までに群馬県における70件の古墳の二次的利用の事例を集取することができった。目標値100件まで7割ほどの進捗である。(2)基礎調査に基づく研究小括は、これまでに全8回の研究会を実施しており目標を達成することができた。、(3)重点調査に基づく研究小括も公開シンポジウムを実施することで相応の成果を収めることができている。(4)研究の総括と公表が未実施である。 以上のとおり、4つの主要工程のうち(2)(3)の2工程は完了、(1)の3割と(4)の10割が延長最終年度である2023年度の主要な活動となる。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者による活動は2022年度までにすべて完了し、延長最終年度である2023年度は、研究代表者によって、(1)基礎調査の補充と資料整理し、(4)研究の総括と公表として、『古墳の履歴書調査報告書』(古墳に由来する文化的景観資料集)の編集・刊行する計画である。研究期間が延長された結果、遅滞していた進捗は修正され、一転順調となった。2023年度は当初計画した全工程を完了させ、所期の研究成果を収めることできる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の社会的蔓延の影響で、研究初年度の2020年度にほとんど調査研究活動が実施できなかっため、昨年度末に研究期間の1年延長を申請し許可された。研究計画はほぼ1年ずつの繰り延べで進んでいるので、当初最終年度である2023年度に実施を経過宇していた研究総括と調査研究報告書の編集・刊行を残すにみとなった。本収支状況ではそのための経費937,094円が次年度使用額となっている。
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