研究課題/領域番号 |
20K00963
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
藤野 裕子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (70386746)
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研究分担者 |
宮本 正明 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20370207)
愼 蒼宇 法政大学, 社会学部, 教授 (80468222)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 在日朝鮮人 / 暴力 / 記憶の継承 / 関東大震災 |
研究実績の概要 |
本研究は、研究分担者2名(愼蒼宇・宮本正明)とともに、1920年代における在日朝鮮人に対する暴力行使について、(1)震災時以外の暴力事件(宮本・藤野)と(2)関東大震災時(愼)に分担して、史料調査を実施するとともに、各地域における記憶の継承のされ方を明らかにすることを目的とする。 本年度は新潟・長野・静岡・山梨での史料調査を予定していたが、新型コロナ・ウィルスが蔓延した影響で実施することができなかった。この状況を鑑み、予定を変更して、利用可能な図書館において、以下の分担により、東京周辺で行える史料調査・収集と、次年度以降の史料調査の予備調査に徹することとした。 第一に、1920年代・30年代の『特高月報』『社会運動の状況』から、日本人労働者と朝鮮人労働者との「争闘事件」の件数・参加人数を府県別にまとめ、その変遷を分析した(藤野)。これをもとに重要な事件が発生したと思われる時期・地域の洗い出しを行った。第二に、各都道府県・市町村の自治体史における戦前の在日朝鮮人に関する記述を悉皆調査し、これまで知られていなかった重要事件の洗い出しを行った(宮本)。第三に、国会図書館において、東北地方などの地域新聞の調査を行い、関東大震災時の関東以外の地域での動向を調査した(愼)。 オンラインでの研究会を3回(9月・12月・3回)開催し、年間計画の修正に関する議論、各調査結果に関する研究報告を行った。今年度は国内での史料調査を行うことができなかったため、調査費用は翌年度に繰り越し、次年度以降に、所属機関による許可が出る限り、調査出張を実施する予定である。しかし今年度行った文献調査は、研究課題に全体にとって価値あるものであり、次年度以降の調査を実施するうえで有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、当初予定していた各地での史料調査を実施することができなかった。ただし、代わりに東京周辺で行える文献調査に徹したことで、今後調査すべき対象をより限定でき、成果を得ることができた。その成果をふまえて、次年度以降に史料調査を実施して、研究の遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの状況が改善され、研究代表者・分担者の所属機関に出張許可が得られるようになり次第、今年度の成果をもとに、関東甲信越・東北地方での史料調査を行う予定である。 ただし、現在のところ状況が改善されるかどうか、見通しが不透明であるため、翌年度も史料調査に行けない可能性も想定する必要がある。その場合は、今年度と同様に、東京周辺で①各自治体史における戦前の在日朝鮮人関係の記述の悉皆調査、②各地域新聞の在日朝鮮人関係記事の悉皆調査を行う予定である。①②の悉皆調査を完了させるだけでも、学術的な意義は大きい。 翌年度も調査出張がかなわなかった場合には、研究期間を延長することも視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新型コロナウィルスの関係で、予定した史料調査に行くことができず、調査旅費を執行することができなかった。また、通常、調査の成果を受けて行う文献収集についても、調査の実施がかなわかったために、物品費の執行も予定より少額となった。これらについては、次年度に、新型コロナウィルスの状況が改善され次第、調査を実施、文献資料の収集を綿密に行い、使用する予定である。
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