1950年に朝鮮戦争が勃発し、日本再軍備の起点となる警察予備隊が創設された。長野県松本市は地域振興の目的で警察予備隊を誘致したものの、それに不可欠な演習地の確保をめぐって県内の他の自治体と軋轢を重ねていく。当初は、旧陸軍飛行場や高原などを演習地として借用していたが、農地を荒らすことなどからいずれの地点でも拒絶され続けた。1953年になると、松本部隊や松本市は、旧陸軍の演習地で戦後は開拓地となっていた有明原を買収し、演習地化することを画策する。開拓民の間では反対派と賛成派が生まれるが、反対運動としては防衛当局や松本部隊などの国家機関のみならず、同県内での松本市の動きとも対峙する必要があった。
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