研究課題/領域番号 |
20K00975
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
守友 隆 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (60610847)
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研究分担者 |
古川 祐貴 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (00784860)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 対馬藩宗家 / 長州藩毛利家 / 燕都流言録 / 海外情報 / 太平天国の乱 / 情報流通 / 松前口 / 徳川将軍朱印状 |
研究実績の概要 |
本年度は大まかに2つのことを実施した。1つは、山口県文書館・柏原美術館における幕末維新期の長州藩毛利家の史料調査である。もう1つは、松前藩主松前氏宛て徳川将軍朱印状の発見と公開である。 山口県文書館では、令和4年3月中・下旬に史料調査を行った。「毛利家文庫」、「周布家文庫」、「長井家文書」など66点の史料閲覧・撮影をし、解読・分析中である。 また、柏原美術館では「名流尺牘」のうち「燕都流言録」を閲覧・撮影した。同史料は2002年当時霊山歴史館学芸課長の木村幸比古氏が鑑定し、同氏の著書『吉田松陰の実学』(2005年、PHP研究所)で研究成果を紹介されているが、検討の余地がある。具体的には、吉田松陰がどのようにして対馬藩家老が幕府に提出した届書の文面を筆写することができたのかについて明確な答えを提示していない。恐らく、対馬藩士が届書の写を松陰に見せたと推測されるが、さらなる検討の必要があろう。 つぎに松前藩主松前氏宛て徳川将軍朱印状の発見である。勤務先博物館の未整理史料の整理を行ったところ、上記朱印状の原本・写の計12通が見つかった(詳細は拙稿「松前藩主松前氏宛て徳川将軍朱印状の紹介」『研究報告』B類歴史第19号、2022年3月、北九州市立自然史・歴史博物館)。また、対馬口と松前口の比較検討ということで、松前藩におけるアイヌ・ロシア情報の取り扱いについて、松前藩は不都合な情報は隠蔽し、幕府に届けていないという先行研究を確認した。それが幕府目付の探索で露見し、松前の直轄化が決定したことについては、さらに対馬と比較検討したい。 「毛利家文庫」に対馬藩宗家の文書と考えられるものが含まれるが、これは作成当時、対馬藩士から長州藩士に渡されたもの(原本か写かは要検討)と、明治以後に収集されたものがあるようで、予想以上に対馬藩と長州藩との間で情報流通があったことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置のため、予定していた史料調査をほとんど行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、前年度・本年度に予定していた史料調査が実施できそうなので、先ずはそれを実施したい。その上で、史料の解読・分析を行い、当初の研究の見通しとすり合わせ、問題がなければそのまま継続し、問題点があれば軌道修正してまとまった成果を発表できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置などのために予定通り調査出張することが不可能であった。次年度に実施したい。
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