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2020 年度 実施状況報告書

近世の流域史と鉄・砂鉄・森林に関する歴史学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00978
研究機関東京農工大学

研究代表者

高橋 美貴  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90282970)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード流域史 / 鉄・砂鉄 / 土砂 / 森林 / 河川
研究実績の概要

本研究は、前近代日本における鉄生産の二大拠点である東北地方(とくに旧仙台藩)と中国地方(とくに島根県)とを事例として、比較史的に鉄生産・砂鉄生産が地域社会にもたらした意義と意味とを流域史的に問い直そうとするものである。計画では、2020年度は仙台藩領における史料整理・収集を進めることを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による移動自粛のため、調査フィールへの移動を伴う調査・資料収集・ミーティングを実施することができなかった。このため、2020年度は、すでに入手していた史料データの分析に基づく研究論文の作成・公表およびオンラインによるミーティングや研究報告を行った。具体的には、次の3つである。 1.仙台藩における山林資源利用と製鉄の関係について論じた拙稿「山林資源と仙台藩‐一八世紀前半の史料と事例から‐」(荒武賢一朗・野本禎司・藤方博之編『古文書が語る東北の江戸時代』吉川弘文館、2020年)を発表した。また、本研究の調査フィールドではないが、かつて近世における水産資源変動と地域の山林資源利用の変遷について検討を行った伊豆国内浦を事例とした「近世後期における貰魚慣行の変遷‐豆州内浦地域を事例として‐」(『社会経済史学』85‐4、2020年)を発表した。 2.2021年1月20日、オンラインで研究協力者である島根県古代文化センター・学芸員・中安恵一氏と今後の方針と情報交換を目的としたミーティングを実施した。高橋の史料分析の進捗状況を説明すると同時に、島根県下における史料所在状況について情報提供を受けた。また、中安氏側で必要となる物品などについて相談を行った。 3.2021年3月29日に京都大学人文科学研究所・岩城卓二氏主宰の共同研究班において、本科研テーマに関わる史料の分析に基づき、「近世東北の鉄生産と森林・河川‐仙台藩領を事例として‐」と題する報告をオンラインで行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、前近代日本における鉄生産の二大拠点である東北地方(とくに旧仙台藩)と中国地方(とくに島根県)とを事例として、比較史的に鉄生産・砂鉄生産が地域社会にもたらした意義と意味とを流域史的に問い直すことを課題としている。計画では、まずは仙台藩領における史料整理・収集を進めることを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による移動自粛のため、調査フィールへの移動を伴う調査やミーティングを実施することができず、当初想定していた史料調査を行うことができなかった。遅れは、このことを原因とするものである。
ただし、2020年度は、すでに入手していた史料データの分析に基づく論文の作成・公表(拙稿「山林資源と仙台藩‐一八世紀前半の史料と事例から‐」〈荒武賢一朗・野本禎司・藤方博之編『古文書が語る東北の江戸時代』吉川弘文館、2020年〉および拙稿「近世後期における貰魚慣行の変遷‐豆州内浦地域を事例として‐」〈『社会経済史学』85‐4、2020年〉)とオンラインによる研究協力者とのミーティングや研究報告(京都大学人文科学研究所・岩城卓二氏主宰の共同研究班でのオンライン報告「近世東北の鉄生産と森林・河川‐仙台藩領を事例として‐」)を行うことができた。史料調査としての遅れの一方で、分析や研究成果の公表については相応の進捗を見ることができたと考えている。

今後の研究の推進方策

まずは2020年度に予定していた、仙台藩領における史料整理・収集を進めたい。一関市博物館に所蔵されている『鳥畑家文書』御用留の撮影・データ作成が当面の課題となろう。またこの間、史料所在状況についてアドバイスをいただいている東北大学災害科学国際研究所の佐藤大介氏経由で流域史という本研究の課題と関わる新たな史料群の存在についての情報も得ている。これらの史料群についても状況を視察し、今後の分析対象への組み込みの可能性の有無などについても検討してみたい。
また、研究協力者・中安恵一氏(島根県古代文化センター)とともに、島根県下に所在する史料の概要調査を行うことができたら、と考えている。
ただし、この報告を執筆している段階(2021年4月27日)で、新型コロナウイルス変異種拡大という新たな局面のもと、緊急事態宣言が発動される事態となっている。2020年度の遅れを取り戻すべく、できる限り計画を進めることを心掛けたいが、一方で状況次第で移動を伴う調査を再度見合わせるなどの、冷静な対応も必要になると考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大に伴う都府県間をめぐる移動の制限・自粛によって、当初予定していた移動を伴う調査・移動をとりやめ、すでに入手していた史料データの分析に基づく研究論文の発表およびオンラインによるミーティングや研究報告を行うことに計画を変更したことによるものである。この結果、今年度はオンライン環境を強化するためのPC購入のみの使用となった。
次年度は、2020年度に予定していた仙台藩領における史料整理・収集を進めたい。一関市博物館に所蔵されている『鳥畑家文書』御用留の撮影・データ作成が当面の課題となろう。またこの間、史料所在状況についてアドバイスをいただいている東北大学災害科学国際研究所の佐藤大介氏経由で流域史という本研究の課題と関わる新たな史料群の存在についての情報も得ている。これらの史料群についても状況を視察し、今後の分析対象への組み込みの可能性の有無などについても検討してみたい。また、研究協力者・中安恵一氏(島根県古代文化センター)とともに、島根県下に所在する史料の概要調査を行うことができたら、と考えている。
ただし、新型コロナウイルス変異種拡大による緊急事態宣言発動を受け、状況次第で移動を伴う調査を再度見合わせるなどの冷静な対応も必要になると考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 近世後期における貰魚慣行の変遷‐豆州内浦地域を事例として‐2020

    • 著者名/発表者名
      高橋美貴
    • 雑誌名

      社会経済史学

      巻: 85-4 ページ: 65-88

    • 査読あり
  • [図書] 『古文書が語る東北の江戸時代』2020

    • 著者名/発表者名
      荒武賢一朗・野本禎司・藤方博之編
    • 総ページ数
      246
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      9784642083874

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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