研究課題/領域番号 |
20K00978
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高橋 美貴 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90282970)
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研究分担者 |
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 流域史 / 鉄・砂鉄 / 土砂 / 森林 / 河川 |
研究実績の概要 |
当初の計画では、2021年度は仙台藩領における史料整理・収集を進めることを予定していたが、2020年度に引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響による移動自粛のため調査フィールでの調査・資料収集を見合わせた。このため、2021年度は、すでに入手していた史料データの分析に基づく研究論文の作成やオンラインによるミーティングを行うとともに、本科研の研究フィールドで史料レスキューを進め、史料の所在などを熟知している東北大学災害科学国際研究所・佐藤大介氏に新たに研究分担者として加わっていただき、史料情報の把握や入手を進めることにした。その内容は次の3点となる。 1.代表者である高橋は、収集史料に基づいた投稿論文の作成を進めるとともに、近世における気候変動と水産資源変動の視点を折り込みつながら分析を行った「近世の漁況変動と地域の自然資源利用‐近世の駿河湾と回遊魚」(秋道智彌・角南篤編『海とヒトの関係学5 コモンズとしての海』西日本出版、92-103頁、2022年)を発表した。 2.佐藤大介氏を研究分担者に迎え、史料に関する情報を共有するとともに、2022年度の調査・分析を柔軟に進めるための体制を整えた。佐藤大介氏とは、2021年5月4日に、別途研究連携を構想していたジョン・ダミコ氏(イェール大学大学院生)とともにオンライン・ミーティングを行い、コロナ収束後の研究方針などについて情報交換を行った。 3.研究分担者である佐藤氏は、「仙台藩領の河川流域における開発と公共-北上川流域を中心に-」(『西洋史研究』50、2021年)を発表したほか、本科研分析フィールドの史料集である『丸吉皆川家日誌 天保編』および『仙台藩の様式帆船開成丸の航跡 幕末の海防構想と実践の記録』(ともに東北大学災害科学国際研究所歴史文化遺産保全学分野、2022年)を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、まずは仙台藩領における史料整理・収集を進めることを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による移動自粛のため、調査フィールへの移動を伴う調査や対面でのミーティングを実施することができず、当初想定していた史料調査を行うことができなかった。遅れは、このことを主因とするものである。 一方で、2021年度は、すでに入手していた史料データの分析と、それに基づく論文の作成を進め、2022年度に投稿を行うことが可能な状態に至っている。また、代表者は、近世における気候変動と自然資源利用というテーマに関わって、本科研の分析フィールドではないものの、「近世の漁況変動と地域の自然資源利用‐近世の駿河湾と回遊魚」(秋道智彌・角南篤編『海とヒトの関係学5 コモンズとしての海』西日本出版、92-103頁、2022年)を発表した。また、研究分担者である佐藤氏は、「仙台藩領の河川流域における開発と公共-北上川流域を中心に-」(『西洋史研究』50、2021年)を発表したほか、本科研分析フィールドの史料集である『丸吉皆川家日誌 天保編』および『仙台藩の様式帆船開成丸の航跡 幕末の海防構想と実践の記録』(ともに東北大学災害科学国際研究所歴史文化遺産保全学分野、2022年)を刊行した。 史料調査の遅れはあるものの、史料に関する情報収集や史料分析、研究成果の公表については相応の進捗も見たことから、進捗状況を上記のとおり評価した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、昨年度から執筆途中にある研究論文の完成・投稿が第一の目標となる。研究分担者である佐藤氏からとは頻繁にメールでのやりとりを重ねるとともに、少なからざる史料情報の提供も受けており、それらを折込みつつ執筆を進めたい。 第二に、2020-21年度に予定していた、研究フィールドでの史料整理・収集を進めたい。一関市博物館に所蔵されている『鳥畑家文書』の撮影漏れ分や未撮影分のフォロー、また本科研研究フィールドである史料収集拠点となっている芦東山記念館での情報収集を実施したい。 第三に、現在、東北大学には、研究連携を構想していたジョン・ダミコ氏(イェール大学大学院生)が来日していることから、佐藤氏・ダミコ氏と対面でミーティングを行い、研究情報の共有や今後の研究計画についての相談を行いたい。可能であれば、上述した資料調査とリンクすることも検討したい。 第四に、研究協力者・中安恵一氏(島根県古代文化センター)とともに、島根県下に所在する史料の概要調査を行うことができたら、と考えている。 2020-21年度の遅れを取り戻すべく、できる限り計画を進めることを心掛けたいが、一方で状況次第で移動を伴う調査を再度見合わせるなどの冷静な対応も必要であることを忘れずに進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、都府県間をめぐる移動や集団での調査を自粛したことより、当初予定していた移動を伴う調査・移動をとりやめ、すでに入手していた史料データや刊行資料の分析に基づく研究論文・報告書の作成やオンラインによるミーティングに計画を変更したことによるものである。この結果、本年度 は既刊資料購入などが主な研究費の使途となった。 次年度は、2020-21年度に予定していた仙台藩領における史料整理・収集や情報共有・ミーティングを、研究分担者である佐藤氏と進めたい。また、2020年度に引き続き2021年度も用心のため控えた、研究協力者・中安恵一氏(島根県古代文化センター)との島根県下に所在する史料の概要調査を行うことができたら、と考えている。 ただし、新型コロナウイルス変異種拡大の状況の勘案しつつ、慎重かつ冷静な対応を心がけたい。
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