本研究は、拙著『「大東亜共栄圏」の「独立」ビルマ』(2020年)で提起した視点を継承し、バモオ政府の政治的自立性と民衆の戦争被害の深刻さを、より詳細に論じたものである。その際、バモオ政府の抵抗・突き上げに対し、日本(軍)が譲歩をしたことを指摘した。譲歩の程度は決して小さくはなく、このことは従来の太平洋戦争研究に見直しを迫る材料になる。そして、少なからぬ学術的・社会的意義を持つ。また、本研究の視点はビルマ語史料を活用することで得られた部分が多く、「大東亜共栄圏」の研究を、日本語史料に頼って行うことの限界も示した。このことも、学術的・社会的意義を持つはずである。
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