研究課題/領域番号 |
20K00980
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
櫻澤 誠 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90531666)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本史 / 近現代史 / 尚家 / 沖縄 / 東京 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、尚家の近現代史についての実証的研究を行い、東京・沖縄を結ぶ旧支配層ネットワークの形成過程およびその社会的影響力について明らかにすることである。初年度となる今年度は、主に史資料収集と、「沖縄県設置(1879年)から尚泰死去・首里での葬儀(1901年)まで」についての検討を行った。 広範な史資料収集については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、沖縄・東京での調査が予定通りに進まず、沖縄県立図書館での調査を実施するにとどまった。ただ、現物貸借・文献複写を活用することで、可能な範囲でその不足分を補った。また、初年度ということで、特に、未所蔵の沖縄近代史関連文献を購入収集した。 学会発表としては、第58回部落問題研究者全国集会(2020年10月25日、オンライン開催)において、「近代における沖縄出身者の「本土」への移動と「相互扶助」」と題して口頭報告を行った。同報告は、1870~1920年代において沖縄出身者がどのように「本土」へと移動したのか、そして、そのなかで沖縄出身者の間の「相互扶助」がどのようになされたのかについて、全体像を示すことを課題とした。結果として、「尚家」「留学生」「労働者」と時代を経るごとに「本土」への移動者が折り重なっていくなかでの「同胞意識」、そして、時期ごとの「尚家」の位置が明らかとなった。 雑誌論文としては、上記の口頭報告をもとにした、「近代における沖縄出身者の「本土」への移動と「相互扶助」」(『部落問題研究』237、部落問題研究所、2021年5月)の掲載が確定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、主に史資料収集と、「沖縄県設置(1879年)から尚泰死去・首里での葬儀(1901年)まで」についての検討に重点を置いた。そうしたなかで、史資料収集については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、沖縄・東京での調査予定を次年度以降に回すなど、当初計画からの遅れが生じている。しかしながら、成果としては、初年度ながら、1件の学会発表、1件の論文発表を行うことができた。一層充実した成果を達成していく必要はあろうが、一定の水準は満たすことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
史資料収集については、引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が懸念されるものの、初年度の方針と同様、沖縄・東京での調査を中心に行っていく予定である。聞き取りについても対象者を検討し進めていく。 以上の調査をふまえ、2021年度には引き続き「沖縄県設置(1879年)から尚泰死去・首里での葬儀(1901年)まで」、2022年度には「尚典への代替わり(1901年)から沖縄戦(1945年)まで」、2023年度には「敗戦・占領(1945年)から日本への復帰(1972年)まで」についての検討をさらに進めていく予定である。 また、研究の進展に応じて、各種団体の調査対象や聞き取り対象を広げたり、個人所蔵史料の調査を追加実施することなどによって、収集史料を充実させ、改善を図っていく。 さらには、研究を停滞させずに円滑に進めるための新たなアイディアを得られるよう、学会・研究会には積極的に参加し、沖縄を専門とする研究者だけでなく、関連諸分野の研究者と意見・情報交換を積極的に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、沖縄・東京での調査が予定通り実施できなかったためである。「次年度使用額」については、「旅費」として使用する予定である。
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