内山真龍がどのように出雲国踏査を行い、それがどのように『出雲風土記解』などに結実し、古代出雲像の形成につながっていったのかを、具体的に明らかにした。また出雲国風土記に記されている出雲国形成神話である国引神話が、近代において戦争と結びつきながら日本の国土拡大神話へと転化していった様相を明らかにした。さらに、出雲国からヤマトの朝廷に呼び寄せられ當麻蹶速と相撲を取った野見宿禰の伝承地がいつ、どのように形成され、顕彰されていったかを明らかにした。 これらを通じて、出雲という地域と神話的古代像、神話的古代出雲像と歴史意識形成の様相の一端を提示することができた。
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