研究課題/領域番号 |
20K00987
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
後藤 敦史 京都橘大学, 文学部, 准教授 (60710671)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幕末 / 大阪湾 / 海防 |
研究実績の概要 |
2020年度については、新型コロナの感染拡大の影響により、当初予定していた研究の進行が困難な状況にあった。特に、史料調査を十分に行うことができなかった。そのため、2020年度は主に刊行された史料集を中心に検討を進め、大阪湾の海防強化が実施される1860年代前半について分析を進めた。主に分析を行った史料としては、『続再夢紀事』、『会津藩庁記録』、『鳥取池田家文書』、『修訂防長回天史』などの刊行史料が挙げられる。いずれも幕末政治史研究における基礎的な史料であり、これまでも多くの先行研究で用いられてきたが、本研究課題に即し、とくに大阪湾の防備に関わる史料をピックアップしつつ、その読解を進めた。 一方、史料調査としては、新型コロナの感染状況を見すえつつ、広島県福山市および和歌山市での調査を行うことができた。福山市では1850年代に老中首座をつとめた阿部正弘の阿部家資料を調査し、1860年代につながる海防政策について分析した。また和歌山市では、和歌山藩の海防政策に関する史料を調査した。研究計画においては、鳥取市における史料調査を計画していたが、次年度以降に延期することにした。 なお、本研究課題より以前に進めていた研究の成果を含むが、本研究課題と密接に関わる成果として、後藤敦史「幕末期における幕府の大坂湾防備政策と堺台場―川村修就と勝海舟に着目して」、『ヒストリア』280号、2020年6月を発表した。この研究成果を踏まえた研究の発展を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの感染拡大の状況により、計画していた史料調査を十分におこなうことができなかった。その一方、当初は2021年度以降に予定した刊行史料の読解など、大学研究室・在宅で可能な研究を優先的に実施し、できる限り研究の進捗に支障が出ないように工夫をおこなった。それでも当初の研究計画通りに実施できたとはいえず、「やや遅れている」という自己評価を下した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの感染拡大が予断を許さない状況にあるため、当面は、刊行された史料の収集を優先的に行い、その読解を進める。感染拡大の状況によっては、各自治体による感染拡大防備のルールを遵守しつつ、国内出張を伴う史料調査を遂行したい。上記の通り、研究計画にやや遅れが生じているため、大学研究室・在宅で可能な研究(主に史料読解)を行い、研究の進捗につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度における新型コロナの感染拡大により、当初計画していた国内出張による史料調査を十分に行うことができなかった。そのため、次年度使用額が生じることとなった。2021年度については、新型コロナの感染の状況や、各自治体の情報に注意しつつ、2020年度に行う予定であった史料調査を可能な限り実施し、できるだけ当初の研究計画に沿った研究の進捗を目指す。
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