研究課題/領域番号 |
20K00994
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研究機関 | 鹿児島県立短期大学 |
研究代表者 |
福田 忠弘 鹿児島県立短期大学, 商経学科, 教授 (50386562)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 南洋漁業 / 南進論 / 原耕 |
研究実績の概要 |
戦前の帝国議会ではじめて南洋漁業が取り上げられたのは、1928(昭和3)年の第56回衆議院本会議のことである。この国会において、鹿児島選出の原耕(はら・こう)が南洋漁業についての演説を行い、それ以降、農林省及び拓務省が中心となり「漁業分野における南進論」とでも呼ぶべき動きが活発化し、日本の政官財の目が南洋漁業に向けられることになった。 研究の初年度にあたる令和2年度は当初、オランダハーグにある国立公文書館での調査を予定していたが、コロナ禍の影響で実施することができずに、日本の外交史料館の史料を用いた研究を行った。戦前の蘭領東インドでは、日本人漁業者の進出により、蘭領東インド政庁による取り締まりが強化されていった。そうしたなか、1937(昭和12)年に、2件の邦船銃撃事件が発生し、日本人漁業者に初めての死傷者がでた。1937年7月に発生した第7徳栄丸事件では、蘭領東インドの軍艦搭載機が取り締まりの際に至近距離から機銃による銃撃を行い、日本人漁業者に2名の死者と2名の負傷者を出している。その約2週間後には、同じ軍艦の搭載機が泰進丸にも機銃で銃撃を行い、2名の負傷者を出すことになった。2週間の間に、同様の事件が発生したことから、日本政府もこの事態を重視し、オランダ本国との賠償交渉と再発防止策についての交渉を行った。この邦船銃撃事件がどのようなもので、どのような外交交渉が行われたのかについて研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国内外での文献調査を予定していたが、コロナ禍の影響でそうした出張を行うことが全くできなかった。特に、長期休暇中にオランダのハーグにある国立公文書館での調査を考えていたが、海外安全情報でも「レベル3:渡航はやめてください(渡航中止勧告)」がだされていたため、延期を余儀なくされた。 また国内でも東京での資料調査を計画していたが、緊急事態宣言などが出されたために出張を控えなければならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施することができなかった国内外での文献調査を行う予定である。ただコロナ禍の状況で緊急事態宣言が出された場合などは、オンライン等で収拾できる資料などを利用して研究を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外での資料収集のための旅費に支出を予定していたが、コロナの影響で旅費を執行することができなかった。初年度にできなかった出張に関しては、コロナの影響を見ながら2年目、3年目に実施する予定である。
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