従来研究のなかった強制栽培制度とアジアにおける自由主義貿易の動向との関係を検討し、新たに以下を論じた。強制栽培制度と自由主義貿易は不可分に結合していた。結合要因は(1)コーヒーなど輸出用一次産品に対するオランダ植民地政庁の住民への支払、(2)植民地政庁の地税徴収、そして(3)政庁と結託した華人商人による一次産品生産地・国際港間の輸送と商業の独占であった。これらによってジャワ島内の理事州同士、およびジャワ島とオランダ勢力圏の周辺諸島とがひとつのシステム内に接続された。さらにグローバルな貿易動向と、このシステムの下で生活を安定させたジャワ島住民の人口増加とが、強制栽培制度を徐々に変質させた。
|