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2021 年度 実施状況報告書

華北宗族の解体と台湾分支形成そして再融合:20世紀後半僑郷山東を巡るネットワーク

研究課題

研究課題/領域番号 20K01000
研究機関徳島大学

研究代表者

荒武 達朗  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (60314829)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード中国近代 / 山東 / 宗族 / 台湾
研究実績の概要

今年度は台湾・中国での文献調査ができなかったが、その代替として日本の国会図書館、愛知大学付属図書館などで民国期の新聞などの資料を中心に調査を行った。本研究課題の主対象である山東南部の大店荘氏という宗族に関して、現在のキョ南県の地域社会では荘カイ(こざと偏+亥)蘭の事績を高く評価している。これは彼が民国時期に種々の社会事業に従事し、地方志・族譜の編纂を行い、地方の政局において多大な貢献をしたことによるだろう。この点は族譜ならびに地方志、文史資料などの地方文献からも確認できる。
だがこの評価は現在の山東側の地域社会に限定されるものである。中国近代史の枠組みから考えるならば、荘善昶(仲舒)という族人が注目に値する。両者はともに日本への留学経験があり辛亥革命以降の社会運動に貢献しているが、荘善昶は日本での中国人留学生をまとめる立場へと上昇し、留日学生中での五・四運動の展開において積極的な役割を果たした。
だが現在山東本族の認識では荘善昶の扱いは低く、国民党とも最終的に距離を置くことになる荘カイ蘭の評価の方が高い。これは、荘善昶が第二次世界大戦後に大陸地区を離れ、台湾へと拠点を移し、台湾での山東同郷会の中でリーダーシップを取るようになったことと関係していると考えられる。ここから当時の実際の状況と後に形成される「創られた記憶」の間には齟齬が生じていることが明らかとなった。
また加えて今年度は「評馬場毅『日中戦争与中国抗戦:以山東抗日根拠地為中心』」を発表し、本研究のフィールドである山東省における日中戦争期の中国共産党の展開に関する最新の研究を中国の学界へと紹介することが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウィルスの蔓延状況が予想以上に長引いており、予定していた海外での調査が実施できなかった。その代替として、国会図書館などでの文献調査を中心に行った。主に民国時期に刊行された新聞・雑誌類より関係する記事を抽出することに傾注したが、個々人の活動に関わるデータはなかなか集まっていない。
ただ日中戦争時期の山東省における中国共産党の活動に関する著作の吟味を行い、これを中国の学界へと発信することができた。

今後の研究の推進方策

今年度の夏季には長期にわたり台湾で資料調査を実施する予定であり、これにより当初の遅延をある程度解消できると見込まれる。
ただしコロナウイルスの感染状況次第では次年度に順延する可能性もある。

次年度使用額が生じた理由

感染症の拡大により当初予定していた中国・台湾での調査が実施できなかった。それに伴い、旅費に加え現地にて購入予定の書籍に充当する物品費、文献複写費等も使用できなかった。
2022年度夏季には台湾での調査が実施できる予定である。中国近代関係書籍などの物品の購入、図書館での関連資料の文献複写に充当できるものと考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 評馬場毅『日中戦争与中国抗戦:以山東抗日根拠地為中心』2021

    • 著者名/発表者名
      荒武達朗
    • 雑誌名

      抗日戦争研究

      巻: 122期(2021年第4期) ページ: 148-152

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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