本研究の成果は、第一に、関連史料の翻訳(ナームク・ケマル著『オスマン史』序文、ズィヤ・ギョカルプ著『トルコ化・イスラム化・近代化』)である。第二に、権威主義体制の形成過程とその性格の分析(トルコ共和国の建国者ムスタファ・ケマルの伝記『ケマル・アタテュルク―オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父』、および共和国をめぐるシンポジウムにおける報告「オスマン帝国/トルコ共和国における共和主義―ケマリズムの位置づけと再評価をめぐって」)である。これらの成果によって、オスマン帝国末期からトルコ共和国初期に続く権威主義の潮流を、さまざまなアクターの思想や行動を分析することで、一定程度明らかにすることができた。
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