研究課題/領域番号 |
20K01004
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 教授 (70260742)
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研究分担者 |
森 万佑子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30793541)
石田 徹 島根県立大学, 国際関係学部, 准教授 (90386524)
TINELLO Marco 神奈川大学, 国際日本学部, 准教授 (60789303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 併合 / 琉球処分 / 韓国併合 / 属国 / 両属 / 自主独立 / 交隣 |
研究実績の概要 |
本研究は朝鮮・琉球を具体的な事例として、中国王朝との関わり、江戸・明治日本との関係・交渉、欧米の影響力などの観点から、中国王朝の「属国」が「併合」されるという共通の歴史過程を比較しつつ再検討するものである。 近世・近代の朝鮮・琉球の対外関係史の比較研究をメインにすえ、琉球・朝鮮の日中・欧米との交渉、およびそれと密接に関わる中国と日本の対外態勢を研究しつつ、前近代から近代において「属国」から「併合」にいたるプロセスをみなおすことで、中国王朝との関わり、江戸・明治日本との関係・交渉、欧米の影響力などに対する徹底的な史実分析と理論検討をすすめる。そのうえで、東アジアの世界秩序体系を考察しなおし、日本史・東洋史・西洋史、ないし国際政治の ディシプリンの壁を越え、互いを相対化、総合して、新たな世界史像の構築に寄与することをめざしている。 本年度はメンバーそれぞれの専門とする領域において、近世・近代の琉球・朝鮮に関わる研究をすすめた。具体的には近世・近代の日清韓関係、琉球と朝鮮の「併合」過程と対米関係、訳官使を中心とした対馬・朝鮮関係、および韓国「併合」とりわけその中華・日本と関係する側面についてである。 本年度も新型コロナウィルス感染症流行の影響で、調査・発表の出張は極力控え、計画していた全体研究会はすべて、メール会議ないし会議システムのオンラインで実施した。第二年度は新規資料の収集と研究構想の発展に重点を置き、5月、7月、10月、3月に個別、全体の会合を重ねて、具体的には「朝貢」「交隣」「独立」「併合」の概念と実態についての理解を共有し、琉球と朝鮮の比較研究を具体的にすすめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は当初よりオンライン会議システムのフル活用などを通じて、コロナ禍のなかでも海外・国内での研究発表や代表者・分担者の史料・文献の調査は、それなりに進捗した。それでも海外調査は困難で、未公刊文書ないし稀覯書の資料蒐集の面で、遅れは避けられず、昨年度の遅延分を挽回することはできていない。昨年度と同じく、分担者の繰越金も発生した。 それでも事態は好転しつつあり、対面での研究会も徐々に復活し、研究活動は着実に実施しているので、相互の進捗状況を確認しつつ、遅延した部分をカバーしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
まずは来年度は本年度までの遅延部分の挽回につとめたい。海外渡航を通じた調査研究も再開できることをみこんで、可能なかぎりの資料蒐集につとめつつ、既成の先行研究の検証と討論に重点を置いた研究活動を主軸にすえる。最終年度は従前の遅れの挽回を期し、昨年度にひきつづき、「併合」の前提となる琉球・朝鮮の対外関係の内実の研究に重点を置き、さらに日本と欧米列強の関係に対し詳細な調査をくわえて「独立」と「併合」の関係に関わる論点を検討しつつ、具体的な成果の公表も考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度もコロナ禍によって、分担者が予定していた韓国およびその他の海外諸国における史料・文献の調査が不可能になったため、今年度の使用をさしひかえ、次年度の使用にまわすことにした。 この分の金額については、次年度の分担金と合わせて、コロナ禍の緩和に応じて海外調査ができるようにすると同時に、研究の進展に応じて、国内で蒐集可能な資料をとりそろえてゆく計画である。
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