研究課題/領域番号 |
20K01005
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
堀地 明 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (70336949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 清代 / 北京 / 治安 / 内外危機対応 / 首都社会 |
研究実績の概要 |
2023年度は、昨年に引き続き北京の治安行政組織と治安維持施設の解明、清代北京の治安行政と対外的対内的危機に対応し、清朝政府がどのように市民を掌握し、危機を乗り切ったのかについて論文化し、ここ数年の研究とともに一書にまとめ、単著『清代北京の首都社会 食糧・火災・治安』(九州大学出版会、2023年7月)として上梓した。本書の第三部 治安統治と戒厳体制、第七章「乾隆―道光年間の治安と保甲」、第八章「咸豊光緒年間の戒厳体制・巡防・団防・練勇」、終章が本研究課題に関連する成果である。上梓後に拙著研究課題の一層の深化を目指し、清代北京に関する図像史料にどのうようなものが存在し、本研究に新史料として有効に活用できるかを探究した。また、単著上梓後に中央研究院近代史研究所(台北)での国際学術討論会「近代城市秩序與失序」に招致され、本研究の核心部分である清代北京の治安問題について報告し、中国語圏と英語圏の研究者と意見交換を行い、今後の研究課題を明確にできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
単著を刊行でき、新たに図像史料についての知見を獲得したこと、単著刊行により台北での国際学術討論会に招致され、本研究の核心部分を報告することができたゆえに、上記のように評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、清代北京の治安問題に関する研究を進める。具体的には、図像史料を用いて都市社会階層を分析する方法を模索する。また、治安問題の研究を一歩進め、北京の都市管理研究を織り交ぜながら、単著で論じきれなかった問題を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国北京市での史料及び実地調査を計画し、実行しようとしたが、訪問先研究機関の史料閲覧方法が新型コロナウィルス感染症拡大時期以前と激変し、どのようにしたら史料閲覧が可能かを調査したが、最終的にはっきりしなかった。諸情報によると、中国政府の外国人に対する行動監視が厳しくなり、情報を収取し安全対策を確認しようとしたが、これも判然とせず、北京市での調査が実施できなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。次年度は訪中した日本人研究者より諸情報を収集し、研究機関での史料閲覧方法も掌握しつつあり、北京市での史料調査と実地調査を実現する。
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