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2021 年度 実施状況報告書

清末新政期における東三省の官制改革に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01009
研究機関大阪経済大学

研究代表者

閻 立  大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30434781)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード清末新政 / 東三省建省 / 官制改革 / 趙爾巽 / 徐世昌 / 袁世凱
研究実績の概要

本研究は、清末新政期に東三省の建省、官制改革を研究対象として、満漢関係およびこの期間の対外政策などの観点から東三省の建省改制の持つ意義を再認識し、清末新政の特徴の再検討するものである。
先行研究と既存資料の整理を行った上で、2021年度の成果は主に次の2点にまとめられる。一つは、東三省建省(1907年)に直接影響を与えた1906年の載振と徐世昌の東三省考察の経緯を究明した。元々日露戦争後の奉天の状況を考察する予定であったが、準備の段階で、吉林と黒龍江は追加された。清朝政府は憲政を導入するための中央官制改革を完成させたあと、すぐに地方の官制改革を推進するため、東三省をその実験台にしようとした。そこで、奉天考察は東三省全域の考察に変更されるようになった。清朝政府は地方官制改革を推進すると同時にその主導権を握ようとする一面も示されている。つまり、憲政の導入と中央集権は同時に進行する矛盾が生じたのである。
もう一つは初代東三省総督の人事決定、つまり漢人である徐世昌が初代東三省総督になった経緯を明らかにした。1907年1月徐世昌は考察を完了し、奉天、吉林、黒龍江のそれぞれの考察報告書を提出した。また、「密陳通籌東三省全局折」を提出し、東三省で「省」の行政制度を導入することを提案した。清朝政府は地方の官制改革を推進するために建省に異議はなかったが、総督の人事をすぐに決められなかった。結局、盛京将軍趙爾巽、直隷総督袁世凱、民政部尚書徐世昌との三人候補から徐世昌を選んだ。東三省考察の準備段階から徐世昌は袁世凱とよく相談し、袁世凱も建省を支持した。清朝政府は二人の関係を利用して、東三省と直隷省を一体化させ、それによって清朝中央の勢力を強化させようとした。つまり北方勢力の強化によって「東南互保」後の南方勢力の拡大を抑えようとしたのである。
研究成果の報告として、学会発表1回、論文が1本ある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大にともない、当初予定されている中国での資料調査は中止になったため、進捗状況は予定より遅れてしまったのは事実である。
しかし、海外出張のかわりにZOOMを利用し、国内外のオンライン研究会に参加し、さまざまな討論を通じて清朝の新疆、台湾、東三省の建省の相違性について視野を広げることができた点は大きな成果であった。

今後の研究の推進方策

2022年度中も新型コロナウイルスの影響が続く可能性を考慮する。全く海外渡航が不可能な状態の場合を想定して、入手した資料に基づいて、日本国内での資料調査を追加し、東三省の2代目総督の錫良と、3代目総督の趙爾巽の人事決定過程を整理する。そして、東三省での開港開市をめぐって彼らの対日方針を分析し、それによって清末新政期の対外政策を究明する。その研究成果を研究会で研究報告し、論文として公表できるよう努力する。
2022年度また予期せぬ事態によって、一次資料の入手が滞る場合、研究期間の延長も見据えて、無理のない形で研究計画を完了できるよう考慮する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの関係で予定していた中国での資料調査が実行困難になった。また予定していた学会活動がすべてオンラインになったことから、旅費の支出がなかった。以上の2点により次年度使用額が発生した。この金額を2022年度に出張費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 「清末初代東三省総督の人事決定の背景」2022

    • 著者名/発表者名
      閻立
    • 雑誌名

      『大阪経大論集』

      巻: 第72巻 ページ: 47頁、62頁

    • DOI

      10.24644/keidaironshu.72.6_47

  • [学会発表] 清末東北新政的開端―載振、徐世昌的東北考察2021

    • 著者名/発表者名
      閻立
    • 学会等名
      中国歴史地理年会
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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