研究期間全体を通してコロナ禍の影響を多分に受けたものの、相応の成果を上げることができた。 本研究の核となる校訂作業に関しては7回のオンライン研究会を開催した。さらに今年度は大学院生や若手研究者を加えて3日間にわたる対面での合宿研究会を開催できた。これにより年代記3ヶ年分の校訂初稿、2ヶ年分の二校がおおよそ完成し、今後の成果発表に向けての準備が整ったことになる。 1,2年目は一切の海外渡航計画を中止にせざるを得ない状況であったが、今年度ようやくリエージュ大学を訪れ、フレデリック・ボダン教授との研究打ち合わせを行うことができ、今後の校訂計画の見通しを立てることができた。ボダン教授が主導する校訂プロジェクトで用いているコンピュータソフトに関する詳しい情報を共有し、原稿のひな形を譲ってもらうことができた。さらに次年度以降の新たな共同研究についての提案も受けた。 研究アウトプットに関しては、6月にマールブルク大学で開催されたマムルーク研究会議に参加して口頭発表を行った。これは初年度に同研究会議にて報告する予定であった内容に若干の増補を加えたものである。また、10月には東京駒場で開催された日本オリエント学会で、企画セッション「前近代イスラーム史料研究の新地平」を開催し、代表者を含む4名の研究発表、2名のコメントを行った。
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