研究課題
基盤研究(C)
15世紀エジプトで書かれたアラビア語年代記『真珠の首飾り』の未刊行部分について、オンラインでの検討会および対面での研究会を継続的に行い、3ヶ年分の記述に相当する部分の校訂原稿を作成した。またリエージュ大学ボダン教授によるオンライン講演会や、同氏との対面での研究打ち合わせなどにより、歴史史料の校訂法、公開法について多くの知見を得た。これらの知見を、国際学会を含む論文、学会発表、およびワークショップにて公表した。
アジア史
未刊行のアラビア語年代記の校訂は遠からず刊行予定であり、それにより中世イスラーム社会に関する基本史料が利用可能となることは、学術的に大きな意義がある。のみならず、校訂テキストに付される予定の日本語訳注は、研究者以外にこの領域に関心を持つ層にとっても計り知れない利益をもたらすであろう。また、史料学や校訂に関する講演会やワークショップを通して、中世イスラーム史料に関心を持つ多くの研究者との議論の土台を形成し、今後日本における当該領域の研究を促進することにつながったと考えられる。