研究課題/領域番号 |
20K01033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 まゆ帆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60192697)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オーラル / エクリ / 書簡体小説 / グラフィニ夫人 / インカ帝国 |
研究実績の概要 |
今年度は、フランスでの文献調査を予定していたが、パンデミックの影響によりフランスへの渡航ができなかった。その代わりに、フランス国立図書館等のネット上の文献を探索し、グラフィニ研究に関わる論文を収集し、検討した。日本にいながら参照できる文献は限られているが、国立図書館等の対応により、従来よりも広い範囲の出版物が公開されており、研究状況を把握する上で、有益であった。本研究との関連で今年度に研究成果として挙げられるのは、以下3点である。 ①単著、長谷川まゆ帆「オーラルとエクリの間からの創造――啓蒙期ロレーヌの作家グラフィニ夫人の場合――」長谷川貴彦編『エゴ・ドキュメントの歴史学』第4章(岩波書店、2020年)、105-138頁。本稿は、オーラルとエクリの間(あわい)に関する研究の二つ目の論稿となるが、新たにグラフィニ夫人の障害と著作を対象に、考察を試みたもので、問題の射程と方法論、今後の分析の可能性を示した。 ②単著、長谷川まゆ帆「内なる他者の理解に向けて――儀礼と表象、感性の歴史学に向けて」『歴史学の思考法』(岩波書店、2020)、132-150頁。本稿は、人類学や近年の感情史などとも密接なかかわりのある研究を中心に、歴史学の研究における身体や感性、ふるまいなど、表象行為のもつ重要性を具体的な研究事例に即して論じたものであり、本研 究の方法論とも密接に関わるものである。 ③単著、長谷川まゆ帆「古い寺院を内側から破壊するージャブロンカ『歴史は現代文学である――社会科学のためのマニフェスト』に寄せて」『歴史と文学』第51号2020年 特集 歴史学と文学ー言語論的展開以後を考える”,社会文学学会発行(編集主幹:成田龍一)、74-84頁。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたフランスでの文献探索はできなかったが、日本で閲覧可能な関連論文には限界があるものの、それらを活用してできることを行った。こうした状況の中で可能なデータベースの作成に取り組むことができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
グラフィニの裁判関連の資料など、手稿文書に関しては、依然としてフランス国内の所在地に赴いて内容を把握する必要があるため、21年度以降に、状況をみて、渡航を果たし、調査を続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外出張がコロナのためにできなかったため、来年度の渡航のために繰り越した。
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