研究課題/領域番号 |
20K01038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
皆川 卓 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90456492)
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研究分担者 |
石黒 盛久 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50311030)
甚野 尚志 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90162825)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 実践神学としての君主鑑 / 旧約聖書 / 公会議 / マキアヴェッリ / 正戦論 / イエズス会 / 告解 / 道徳神学 |
研究成果の概要 |
本研究ではアリストテレス的な配分的正義を基礎とする中世盛期以降のカトリック君主鑑が、16~17世紀の宗教改革・宗派対立の中、神学から演繹される統治者倫理から、政治の神学的理論武装と論争ツール化を経て、君主の「暴力」の神格化・別格化と「告解」による君主倫理の個人主義化への二極化に進むこと、そしてその原動力が、印刷術による君主鑑読者の拡大と統治者倫理の「公共圏」化、それによる「理性」概念の「脱属人化」と「脱神秘化」、「共通材化」によるものであることを、ファン・デ・セゴビア、エラスムス、マキャヴェッリ、ボッテーロ、コンツェンの君主鑑およびブーゼンバウムの道徳神学の比較検討から明らかにした。
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自由記述の分野 |
西洋史/Western History
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の近世ヨーロッパ史では、宗派対立の一方の当事者となったカトリック教会が精神界を支配し、スコラ学的な理性理解に執着し、政治の合理的発展を妨げたという見方が支配的であった。これに対し本研究は、中世末期から近世前半の君主鑑の変容を、その成立の歴史的文脈に位置づけつつ比較史に検討することによって、カトリック世界でも独特の形で政治の合理化が進んだことを明らかにした。そこでは教義の枠内で神と権力の正統性の関係が論じられ、それがメディアによって公共論化した結果、中世的な「神の国家」は正当な暴力の独占者と告解に正義を求める道徳的個人に分かれ、政治学が論じる主権と道徳神学が論じる私的自治に収斂した。
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