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課題『カナダ海軍の創設とイギリス帝国防衛構想』の研究実施にあたり、令和6年度は交付申請書に記載した「研究実施計画」に基づき、研究を進めることを目指した。 令和6年度における研究の進捗に関して、カナダ海軍創設が一つの争点となった1911年総選挙に関する検討を行った。本年度の研究においては、この選挙時の与党自由党、野党保守党の政治家、また著名な評論家や新聞等がカナダ海軍の創設や帝国防衛体制の中でカナダ海軍がどのように位置づけられるべきと主張していたかを検討した。加えて、上記の点についてカナダ海軍創設について批判的な人々が多かったケベック州の動向についても検討を行った。その結果として、ケベック州以外のイギリス系カナダ人は、独自海軍の創設であれ、イギリス本国への海軍費の拠出、つまり本国によるカナダ防衛であれ、カナダの防衛をイギリス本国と一体的に考えており、帝国から分離したかたちの防衛というのは全く考慮されておらず、どのように植民地カナダがイギリス本国に軍事的に貢献できるかが争点となっていた点を確認した。またケベック州においても、カナダ海軍創設自体への反対論も見られるが、海軍の海外派兵がなされない限りにおいて海軍創設について否定的ではなかったことを確認した。 研究期間全体を通じての研究にて明らかとなったのは、カナダ海軍の創設は従来の研究史にて本国との対立、帝国からの分離という観点から検討されていたのに対して、イギリス本国の人々とブリティッシュネスを共有することで、帝国防衛に植民地カナダが主体的に貢献しようとする動きであるということである。こうした点は、従来当方が行ってきたイギリス帝国経済統合へのカナダの貢献という点と併せて、当該期における帝国内におけるカナダの経済的、軍事的プレゼンスを示すものといえるだろう。
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