研究課題/領域番号 |
20K01042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 埼玉学園大学 |
研究代表者 |
伊藤 栄晃 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (60213071)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プランテーション / イギリス帝国 / 黒人奴隷 / ジェンダー / 人口 / 人口政策 |
研究成果の概要 |
18世紀末の西インド諸島ネイヴィス島の奴隷制砂糖プランテーション「モントラヴァーズ農園」史料の分析に注力した。この農園はブリストル出身の商人ピニー家が所有しその史料はブリストル大学附属人文・社会科学図書館に蔵されている。そこでは黒人奴隷の出生・死亡・移動の記録「奴隷登録簿」および日々の業務日誌である「プランテーション業務日録」との資料連結が可能である。分析の結果、サトウキビ刈入れと製糖が行われる冬春期よりもサトウキビ作付けが行われる秋期のほうが過酷な労働動員がされていること、奴隷の出生行動の秋期の低下は、通常は非農場仕事に従事するグループのほうがより顕著であることを明らかにすることができた。
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自由記述の分野 |
西洋経済史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
18・19世紀西インド諸島の奴隷社会における低出生と高死亡率問題は、人口学と人口政策の歴史的起源に深く関連している。本研究は、低出生の要因として過酷な労働条件が挙げられることをサトウキビ農園の季節的な業務スケジュールと彼らの出生記録との史料連結で確認すると同時に、奴隷の出生の季節的な変動が、日ごろは非農場仕事に従事し繁忙期にサトウキビ作付けに動員されたグループにおいて特に顕著であることを発見し、過酷な労働条件に慣れない集団ほど屈辱感が大きく出生数の低下を招きやすいと推論する。これが本研究の学術的な意義である。また社会的意義は、低出生と労働条件との関連をより深く議論する機縁になる点が挙げられる。
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