研究課題/領域番号 |
20K01043
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
中野 由美子 成蹊大学, 文学部, 教授 (40362214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 西洋史 / アメリカ史 / 先住民史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、北アメリカ大陸における領土の割譲と先住民に関して、現在のアメリカ合衆国南西部に焦点を絞り、以下の三点について検討することである。第一に、1848年にメキシコから割譲された当該地域の先住民法・先住民政策について、従前のスペイン領・メキシコ領時代の先住民法・先住民政策と、メキシコから割譲後の当該地におけるアメリカ合衆国の先住民法・先住民政策とを比較し、共通点・相違点を整理することである。第二に、従前の先住民法・先住民政策との連続性ないし断絶性を、誰がなぜ主張したのかを具体的な訴訟に即して明らかにすることである。第三に、合衆国における先住民法・先住民政策は、新大陸におけるスペインの先住民法・先住民政策を継承していることを示し、その歴史的意義を検討することである。 今年度は、上述した第一の点について、先行研究の整理と一次史料の分析を行った。現在のアメリカ合衆国南西部のみならず、現在のアメリカ合衆国南東部と中西部の一部も、かつてはスペイン領であった。また、現在のアメリカ合衆国南西部については、19世紀前半のメキシコ独立以前はスペイン植民地であり、メキシコ独立後の当該地においてはスペイン植民地時代の先住民法・先住民政策が継承されていたことは広く知られている。そのため、今年度は、基礎的研究として、現在の合衆国南西部・南東部・中西部の一部がスペイン領だった時代にさかのぼり、当該地におけるスペインの先住民法・先住民政策の特徴を把握する作業を行った。具体的には、従前の先住民法・先住民政策との関連性という観点から、当該地における先住民の土地に関する訴訟に関する先行研究の整理と一次史料の分析などの基礎的研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の2020年度には、従前のスペイン領・メキシコ領時代の先住民法・先住民政策と、メキシコから割譲後の当該地におけるアメリカ合衆国の先住民法・先住民政策との比較研究という観点から、先行研究の整理と一次史料の収集と分析を行うことを目的とした。さらに、先行研究を整理しながら一次史料を収集・分析することによって、次の段階として事例研究や理論研究につなげることを目的としていた。これらの目的については、先行研究の整理の部分ではおおむね順調に進展している。しかし、一次史料の収集・分析については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、史料収集のための出張や研究打ち合わせのための出張を延期せざるを得なかったため、すでに収集済みの一次史料の分析に限って実施した。そのため、2020年度までの進捗状況としては、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
最初に、19世紀前半までの合衆国領と19世紀半ば以降の合衆国領とに区分したうえで、 領土の割譲に伴い先住民の「(一定の土地を)占有する権利」がどのように承認されたのか、あるいはされなかったのかを引き続き検討する。19世紀前半までの合衆国領は、東部13州を除けば、主に、イギリス、フランス、スペインからの割譲地から成っていた。注目すべきは、ミシシッピ川以西の広大な土地の大半は、かつてスペイン領だったことである。したがって、従前の先住民法・先住民政策との関連性という観点から、元スペイン領における先住民の土地に関する訴訟を事例として取り上げ、比較研究を行う。 今年度は、本研究のテーマに関連する先行研究について、引き続き精読と整理を行う。それと同時に、19世紀半ば以降に合衆国領となった地域に関して、通史的な基礎的研究と事例研究を行うため、一次史料を収集し読み解く作業を行う。そのため、史料収集のための旅費や図書費、デスクトップパソコン購入のための物品費として研究費を使用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記の「現在までの進捗状況」欄に記載したように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、史料収集のための出張や研究打ち合わせを延期せざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。2021年度は、先住民の土地に関する代表的な訴訟に関する先行研究と、19世紀半ば以降に合衆国領となった地域に関する通史的な基礎的研究と事例研究のための一次史料の収集・分析を目的として、史料収集のための旅費や二次文献を購入するための図書費、デスクトップパソコンを購入するための物品費として研究費を使用する予定である。
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