今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、これまで中心に行ってきたイングランドとウェールズの境界地域に加え、ノルマンディ境界地域の調査に入る予定である。だが、イングランドとウェールズの境界地域と、ノルマンディとその周辺地域を別のものとして扱うのではなく、チェスター伯とその家臣たち、関連する貴族たちの動きをたどるなかで関係性に意識しながら研究を進めることが本課題の特徴である。具体的には、年代記史料等叙述史料と、関連する証書類を丁寧に読み進める地道な作業が重要である。ノルマンディの境界地域に関しては、D. Power, The Norman Frontier in the Twelfth and Early Thirteenth Centuries (Cambridge, 2004), またウェールズの境界領域に関しては、M. Liebermann, The March of Wales: A Borderland of Medieval Britain, 1067-1300 (Cardiff, 2008), さらにノルマンディ、ウェールズそれぞれの境界領域双方についても‘The Medieval “Marches” of Normandy and Wales’, English Historical Review, 125 (2010)といった重要な研究があり、参考にできると考えている。
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