研究課題/領域番号 |
20K01048
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田中 きく代 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (80207084)
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研究分担者 |
岩野 祐介 関西学院大学, 神学部, 教授 (20509921)
深尾 裕造 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (20135891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際基督教ネットワーク / 社会改革運動 / 宣教 / 人権 / エヴァンジェリカリズム / 道徳的説得 |
研究実績の概要 |
19世紀アメリカ合衆国(以後、アメリカと表記)の民主主義の進展、国民化のプロセスを考えるとき、民衆自決による政治参加の問題が問われ、人々の連帯による奴隷制廃止運動などの社会改革運動に焦点が当てられてきた。しかし、それらはキリスト教の影響による宗教的・道徳的覚醒を背景とするものであったものの、従来こうした覚醒やキリスト教の宣教活動と連動して解釈する研究は少ない。ましてや、こうした社会改革運動の国際性を問う包括的研究は皆無と言ってよい。本研究は、アメリカの奴隷制廃止運動を主体に社会改革運動を究明するものであるが、イギリスからアメリカを経て日本・中国に伸びるキリスト教社会改革運動の国際ネットワークを想定し、ネットワークの相互移動のプロセスを分析するものである。 本年度の研究実績としては、6回の研究会を実施した。研究報告はリモートで、研究代表者、研究分担者、研究協力者、ゲストスピーカーによるもので、それぞれの研究報告を通して、アメリカ的な社会改革運動に基づく宣教ネットワークの存在を具体化することができた。大西洋海域のアボリショニズム、地中海域のカトリシズム、ハワイのカトリシズム、日本へのエヴァンジェリカリズムの導入についても、個別の理解を進めることができた。こうした研究の一部は印刷にかかっている。 また、もう一つの目的である、研究者ネットワークの構築に関しては、リモート研究会にゲストスピーカーを招聘し、参加を奨励することで、ある程度実現している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者、研究分担者、研究協力者の個別研究、並びにリモート研究会での報告に関しては、ほぼ順調と言える。ただ、本研究の主たる目的である海外調査については、コロナのために、本年度も皆の出張がかなわなかった。どうしても読破すべき手書き文書などを見ることができないので、研究に不十分さを感じているが、現在のところ、刊行二次史料に頼らざるを得ない状況である。これが、進捗状況がやや遅れているとした理由である。 子ども用の奴隷解放運動に関する歴史書の翻訳・出版に関しては、まだ準備が整っていない。これも理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
今後も個別研究もさらに促進させ、個々人が論文として発表する予定である。リモート研究会の方も、大西洋海域、太平洋海域での宗教的改革運動の伝播とネットワークに関する研究報告を予定している。 海外調査に関して、コロナのため渡航困難で実施できていないが、2022年度末までには、どうしても実施せざるを得ない状況である。出版などにはさらに1年かかると考えられるが、その準備に関しても、理論的側面をさらに詰め、共同理解をはかりたい。 子ども用の奴隷解放運動に関する歴史書の翻訳・出版に関しても、準備に移りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、基本的に海外調査がコロナの為に不可能であったからである。次年度中に海外調査を、研究代表者、研究分担者(2名)が実施するのに、主として使用する。
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