研究課題/領域番号 |
20K01060
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ペルシア戦争 / 歴史叙述 / 記憶 / 記憶の改竄 / アイデンティティ / ギリシア人 |
研究実績の概要 |
初年度となる2020年度には、7月にギリシア国立劇場がペルシア戦争2500年を記念してアイスキュロス『ペルシア人』を上演する機会に、共同でワークショップを開催することを企画し、前年度から準備に入っていた(https://www.n-t.gr/en/news/allnews?nid=33479)。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、計画は白紙となり、現在まで見通しが立っていない。一方、10月に報告が予定されていた日韓中シンポジウムも開催が1年延期(2021年10月にオンライン開催)となった。かかる状況下にあって、2020年度中に研究経過を報告する機会はほとんど延期ないし中止となった。日韓中シンポジウムに関連しては、2020年9月にオンラインで開催された古代世界研究会主催の西洋古代史サマーセミナーにおいて「ペルシア戦争の記憶と《ヘレネス》意識の創造と展開」を報告し、2021年10月の報告に向けての問題の整理をおこなった。また、2021年3月に竹内一博氏の科研費研究(19K23112)と合同で研究会を開催し、「「歴史家」の顕彰とポリスの歴史の創造:競合とネットワーク」と題する報告をおこなった。「歴史家」とよばれる人々が各地からの依頼によって創作した「歴史」がポリスアイデンティティの継承と発展にどう影響し、さらにいかに共通の記憶を想像していったかについて、考察するための準備報告的な性格のものであり、ペルシア戦争史をめぐる記憶の問題をより大きな記憶と歴史叙述という枠組みに位置づけてゆくための報告である。 海外調査が全くできなかった2020年度は、研究成果を1つずつ論文として発表することに力を注ぐこととなった。いくつかは2020年度中に公刊され、またいくつかは2021年度以降に刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際学会および国際ワークショップでの報告・活動がすべて延期ないし中止となってしまった。とくに国立劇場との共同ワークショップについては、海外渡航がかなり自由に行えるようになるまで見通しが立たない。2021年度に国内において国際ワークショップの開催を予定していたが、これについても現状では開催の見通しは立たず、おそらく1年以上の延期となる。 一方、成果発表という点においては、概ね順調に執筆をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査については、2021年度もおそらくかなり困難ではないかと考えている。またオンラインであれば、不可能ではないが、対面での国際ワークショップの開催もまだ開催は難しいと予想している。2021年度には、9月にギリシアで開催される国際学会において、歴史の記憶の蓄積に聖域が果たした役割について報告を予定している(おそらくオンラインでの参加)。また10月には、1年延期された日韓中シンポジウムで報告をおこなう(オンライン)。2022年度以降、渡航の自由と安全に見通しが立つようであれば、国内での国際ワークショップの開催についての計画を2021年後半から具体化してゆく。ペルシア戦争の受容史はギリシア人のアイデンティティの問題であると同時に、その研究史については、近代西欧、および近代ギリシアのアイデンティティの形成の問題を無視しては語れない。かかる側面にも光を当てていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の残額は本来、7月にギリシアで開催が予定されていた国際ワークショップに使われるためのものであった。新型コロナ感染症の蔓延により、ワークショップが中止となり、さらに打ち合わせその他の渡航についても全く見通しが立たなくなったため未使用額が発生した。2021年度末ころにはワークショップの新たな開催の可能性とその手法について、また現地調査をおこなうために渡航できることを期待してはいるが、今後の感染症の流行状況如何になろうかと思う。国内でのワークショップ開催の予定もあるが(秋ないし年度末)、これもまた感染症の状況如何による。2021年度にもこれらの実施ができなかった場合、2022年度に開催すべく、準備を進めていく。
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