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2020 年度 実施状況報告書

中世の百科全書にみるヨーロッパにおけるユーラシア認識の変容と再構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K01062
研究機関東洋大学

研究代表者

鈴木 道也  東洋大学, 文学部, 教授 (50292636)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードヴァンサン・ド・ボーヴェ / ウィリアム・ルブルック / 旅行記 / 東西交渉 / フランス王国
研究実績の概要

本研究は、13世紀から14世紀にかけてのフランス王国で編集、制作された百科全書的作品群、とくにヴァンサン=ド=ボーヴェの作品『大いなる鑑』とその俗語翻訳版を対象に、そこに記された異文化圏に関する記述の成立過程と内容、さらにその政策・意思決定への影響を探ることで、中世ヨーロッパの人びとが異文化圏、とくに東方ユーラシア世界をどのように認識し、そしていかなる「外交」政策を展開していたのか、中世における学知と政治との関係を明らかにしようとするものである。
ヴァンサン=ド=ボーヴェは、1246年、ロワイヨモンの地にフランス国王ルイ9世が建てたシトー派修道院に招聘され、長くこの地に滞在することとなる。すでに招聘時点で彼の作品『大いなる鑑』はある程度完成していたが、ルイ9世が十字軍遠征に失敗したことで、かえってヴァンサンは東方世界に強い関心を抱くこととなり、その結果『大いなる鑑』に対して大規模な改訂作業が実施されることになる。改訂作業そのものについてはよく知られており、王権の意図が反映していた可能性についても指摘されているが、イスラーム世界についての記述がどのように改訂されたかという点について分析した研究はこれまでない。
本年度は、この点について『大いなる鑑』の編集段階に存在する複数の版から作られた写本を収集・分析する予定であった。しかし海外渡航が不可能になるなど複数の問題が生じたため当初の予定を変更し、ヴァンサンが自著の編纂にあたって参考にした複数の旅行記に関する最新の研究状況の確認、文献収集を行った。しかしこれらの活動に基づいた具体的な成果を得ることはできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルスの感染拡大によって海外での資料調査や国際的な研究集会への参加が難しくなってしまった。すぐに研究計画を修正すべきであったが、他の業務との関係もあり、適切な対応をとることができなかった。研究文献の収集・整理、研究状況の確認など、最低限の活動しか実施することができなかった。大いに反省したい。

今後の研究の推進方策

2020年度は最低限の活動しかできなかったが、それでも『大いなる鑑』の編纂過程を知る上で重要ないくつかの写本についての、あるいはこれまで未確認であった『大いなる鑑』の俗語翻訳版についての新たな知見を得ることができた。2021年度も依然として海外渡航は困難であるように思われるが、引き続き可能な限り研究文献・刊行資料・デジタルアーカイブズの整理・収集作業を進め中世ヨーロッパ世界における「外交」の問題を具体的に考えていくための方法論的な手がかりを得たいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

予定していた海外資料調査や国際研究集会への参加が新型コロナウイルスの感染拡大によって困難になってしまったため<旅費>を執行することができなかった。繰り越した<旅費>は海外渡航が可能となれば2021年度に全額執行の予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 「《翻訳》13世紀に歴史を書くということ -プリマと『王の物語』(2)」2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木道也
    • 雑誌名

      『東洋大学文学部紀要』

      巻: 45 ページ: 272-202

  • [雑誌論文] 「<Reditus Regni ad Stirpem Karoli Magni> 再考」2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木道也
    • 雑誌名

      『西洋中世研究』

      巻: 12 ページ: 50-63

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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