研究課題/領域番号 |
20K01063
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高澤 紀恵 法政大学, 文学部, 教授 (80187947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ジャンセニスト / パリ / フランス / 近世 / 絶対王政 / 教区 |
研究実績の概要 |
本プロジェクトは、従来は別々に論じられてきた政治秩序(絶対王政)と宗教秩序(カトリック改革・ガリカニズム)の内的連関を、17世紀パリの一教区という具体的な場から検討することを目的とする。近年では、ジャンセニスム研究の進展もあり、その複雑な様相は次第に明らかにされつつある。しかし、具体的な一教区に視点を据え、教区司祭、イエズス会、ミニモ会、ジャンセニスト、教区財産管理委員に集まる俗人エリートなど多様なアクターたちの対立関係を実証的に追い、ミクロな分析とマクロな政治変容を総合しようとしている点で、国際的にみても本プロジェクトのオリジナルな価値がある。 本プロジェクトを遂行するためには、これまで収集した史料に加えて、更なる史料調査が不可欠である。 しかし、コロナ禍の予期せぬ長期化のため、延期していた現地調査ならびにフランスの研究者との意見交換を行うことは、2021年度もできなかった。フランスの研究集会のために用意した研究報告 (「司祭がジャンセニストになる時--17世紀パリの一事例か ら」)は、いまだ発表の機会を得ていない。 他方、 これまで研究協力を続けてきたフランスの社会科学高等研究院のロベール・デシモン、ファニ-・コザンデの『フランス絶対主義 歴史と史学史』の翻訳書を岩波書店から2021年4月に出版することができた。フランス絶対主義研究の現状と課題を日本語世界と共有し得たことに加えて、研究仲間との討議を経て解題をまとめ、絶対主義研究の大きな見取図のなかに本プロジェクトを位置づけることができたことは、大きな成果であった。 また、コロナ禍の閉塞状況のなかで、日本における西洋史学の歴史と役割を省みる機会を得たことも、今後の展開に有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の予期せぬ長期化のため、2021年度も現地調査ならびに研究集会を開くことができなかった。替わりに、Zoomなどを活用して、研究仲間と共に、今後の研究の基盤となるべき翻訳を世に問うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
日本とフランスの近世研究を交差させた論文集の刊行を進めている。2022年度中に日本で刊行された後には、まず日本で、状況が許せばフランスの研究者も招いて、研究集会を開くことを予定している。 また感染状況が落ち着いた場合は、2022年度中に渡仏し、史料調査ならびにフランスの研究者との直接的対話を再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、渡仏して史料調査を行う計画が遂行できず、旅費を使用しなかったため。状況が許せば、2022年度夏あるいは三月に渡仏することを計画しており、その旅費として使用したい。
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