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2022 年度 実施状況報告書

プガチョーフ叛乱の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01065
研究機関明治大学

研究代表者

豊川 浩一  明治大学, 文学部, 専任教授 (30172208)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードプガチョーフ叛乱 / 18世紀ロシア社会 / 古儀式派 / カザーク / 農民 / 民族
研究実績の概要

本研究の課題に沿って2022年度の研究は進められた。新型コロナウィルスの新種株の感染拡大にも関わらず、国内外の学会が対面式とオンライン併用の形式がとられた。本研究も、大学の在外研究を利用して、フィンランド・ヘルシンキで3か月の研究を遂行することができた。
第1に、1年を通じて研究文献と資史料の収集に努めながら、従来の研究の整理を行なった。第2に、予定していた年度末のロシアにおける古文書・文献の調査、および研究者との意見交換のための外国出張については、2022年2月から続いている戦争のために中止せざるを得ず、その代わりに、在外研究を利用してフィンランド・ヘルシンキの国立図書館における文献調査と分析に切り替えて、研究を遂行した。第3に、2月に開催された北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター主催の国際会議「International Symposium "Survival Strategies of Ukraine and Russia"」にオンラインで出席した。第4に、北海道大学付属図書館およびスラブ・ユーラシア研究センターに出張して、詳細な調査をした。
以上の研究の結果、以下の研究成果を得た。論文としては、①「18 世紀モスクワにおけるペストの流行と暴動に関する史料」(『駿台史学』178号、2023年3月、99~125頁)、②「フィンランドの図書館事情―国立図書館を中心に」(『図書の譜』27号、2023年3月、75~80頁)であり、報告としては、①「プガチョーフ叛乱前夜の国家と社会―1771年のモスクワのペスト一揆を中心に」『日本18世紀ロシア研究会』(2022年9月23日、於明治大学)である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ここ数年続いたコロナ感染拡大のため、そしてまた何よりも2022年2月に勃発したウクライナ戦争によってロシアへ出張して古文書館での調査ができなかったことが、本研究課題遂行の「やや遅れている」要因である。また、ロシアへ図書の依頼を出しても、現在の制裁下にあってはコピーの送料等を払うことができず、コピーを受け取ることができない状況にある。
しかし、現地でしか行うことができない古文書調査は別にして、19世紀以来刊行された多くの文献についてはインターネットでの公開が進み、日本にいても利用することが可能である。とはいえ、すべてを手に取って読むことができるわけでもなく、その点は不便である。ただ、昨年は勤務する大学から半年間の在外研究が許されたおかげで、フィンランドのヘルシンキにある国立図書館で3か月研究することができた。19世紀初頭、フィンランドがロシアに併合されたため、ヘルシンキの国立図書館に19世紀以降ロシア帝国で刊行された出版物がほとんど揃っており、ロシア以外でそうした刊行物を手に取るとこができる唯一の場所となっている。それでも、いくつかの欠落があるため十分ではない。

今後の研究の推進方策

本研究課題の今後の方針は以下の通りである。すでに述べたように、ロシアへの出張は今年も無理であろう。その代替案として、7月にオンラインで開催される「18世紀ロシア研究グループ」(Study Group on Eighteenth-Century Russia、拠点:London School of Economics and Political Science)で「プガチョーフと古儀式派教徒」(英語)と題して報告する。8月に3週間ほどフィンランド・ヘルシンキに行き国立図書館で昨年度調査し残した箇所の調査・研究を継続して行う。10月下旬に九州大学で開催される「ロシア史研究会」において、日本における18世紀ロシア研究会の会員と共にパネル(「近代ロシアはいつどのように形成されたのか?―揺れ動く近世ロシアの国家・社会・文化」日本語)で発表することを予定している。
その間、日本では本研究課題について、現在手元にある資史料に基づいて分析を進める予定である。以上の成果を年度末を目途に論文として発表する。

次年度使用額が生じた理由

ここ数年続いた新型コロナの感染拡大の影響および昨年2月に始まったウクライナ戦争により、ロシアへの渡航が不可能になったことが大きな理由である。そのため、計画当初に予定していたロシアにある古文書館での調査を行うことができず、次年度使用額が生じたのである。
次年度の使用計画については以下の通りである。すでに記したように、7月にオンラインで行われる「18世紀ロシア研究グループ」での発表のための英語の査読経費、8月に3週間ほど行う予定のフィンランド・ヘルシンキにある国立図書館での調査・研究の出張経費、10月下旬に九州大学で行われる予定の「ロシア史研究会」のパネル発表のための出張経費である。加えて、本研究全体をロシア語で発表するための査読経費である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 18 世紀モスクワにおけるペストの流行と暴動に関する史料2023

    • 著者名/発表者名
      豊川浩一
    • 雑誌名

      駿台史学

      巻: 178 ページ: 99、125

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] フィンランドの図書館事情―国立図書館を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      豊川浩一
    • 雑誌名

      図書の譜

      巻: 27 ページ: 75、80

    • オープンアクセス
  • [学会発表] プガチョーフ叛乱前夜の国家と社会―1771年のモスクワのペスト一揆を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      豊川浩一
    • 学会等名
      日本18世紀ロシア研究会

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公開日: 2023-12-25  

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