研究課題/領域番号 |
20K01067
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
梅崎 透 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (30401219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アメリカ / 社会運動 / 民主社会主義 / ラディカル・ポリティクス / 新自由主義 |
研究実績の概要 |
2020年度は、現地での史料調査が不可能であったが、研究方策を切り替えることで、次のような研究実績を得た。 ①『立教アメリカン・スタディーズ』42号において、ミレニアル世代やZ世代に広がる社会主義への支持を、アメリカの社会主義運動の歴史から考察し、アメリカ民主社会主義者(DSA)が現代アメリカ社会でどのような役割を担っているのか考察した。②グローバル関係学叢書『「みえない関係を」みせる』において、アメリカの社会運動、とくに黒人解放運動やフェミニズムにおける毛沢東の思想とイメージの受容を分析した。③日本政治学会2020年度総会・研究大会において、ポスト冷戦期におけるアメリカの位置を、その歴史的な政治潮流の変遷と帝国的振る舞いを軸に、反グローバリゼーション、反新自由主義的社会運動から分析した。④アメリカ政治研究会例会において、大統領選の年であった2020年のアメリカの政治文化を、ブラック・ライブズ・マターやその他社会運動のうねりとその影響面から考察した。⑤『よくわかるアメリカ史』(ミネルヴァ書房、近刊)を共編執筆し、とくに現在からの視点を取り込んだアメリカ合衆国の通史的理解の提示を試みた。⑥1970年代に刊行が始まった左派の学術誌Radical Review(のちにRadical Society)を発注し、先着した後半の18~32巻について、そのイデオロギーやイシューの論じ方を調査、分析した。 総じて、現在のアメリカの政治文化を分析することで、そこに至る歴史的変遷を整理する道筋をつけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、当初予定していた現地での史料調査、ならびに研究者ネットワークの構築ができなかった。そのため二次文献による調査と、現在のアメリカにおける政治文化の状況を分析することに主眼を置いて研究を進めた。また、一次史料の複写版を入手し精読することで、実証研究としての質を確保するよう務めた。さらに、その成果は、学会や研究会での報告し、論文等にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、現地での史料調査が可能か見極めは難しい。そのため、一次史料の収集においては、次の方策をとる。①現地文書館と連絡を取り、複写が入手できる一次史料については現物を郵送もしくはデジタル化したものを電子データとして入手する。②当該研究において重要度が高い一次史料を含む一次史料データベースを契約し、史料を抽出する。③インターネット上の資源を活用し、著作権に配慮しながら史料を収集する。④書店や仲介業者を利用して、マイクロフィルムや史料の現物を入手する。これらを円滑に行うため、関心の近い研究者との連携を強化する。また、研究成果については、適宜学会等での報告や、論文、書籍として執筆する。成果に対する同分野の研究者からのフィードバックを受けながら、研究指針の妥当性と重要性を確認しつつ今後の分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、アメリカ合衆国ニューヨークで実施予定であった現地史料調査が不可能となった。そのため、旅費の支出が0円となり、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、2020年度中に発注済みの一次史料の購入費に充て、次年度補助金は当初予定の目的で支出する。
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