研究課題/領域番号 |
20K01068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
小野 賢一 愛知大学, 文学部, 教授 (30739678)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 列聖 / 教会史 / 国制 / 教皇権 / アレクサンデル3世 / ヨーロッパ中世史 |
研究成果の概要 |
封建時代の王や領邦君主の権力の十分に及ばないアンジュー帝国の辺境に位置する南西フランスのアキテーヌ地方の社会的秩序については、史料の不足により11世紀の神の平和運動以降の状況は解明されないままであった。本研究では列聖プロセスに着目し、列聖を教会制度上の閉ざされたシステムではなく、聖界・俗界のコミュニケーションの結節点として捉えるアプローチの採用によって、列聖調査請願者の書簡、列聖の調査の依頼文書、列聖教書などの列聖のための実務書類を時間軸に沿って調査することで12世紀の教会権力と聖俗権力の相互依存関係の構築を動態的に把握することを可能にした。
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自由記述の分野 |
ヨーロッパ中世史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
12世紀後半の教皇権による列聖権の留保は叙任権闘争終結以後の時代の政治秩序を解明する手懸かりとなるという点で本研究の成果は今後の研究の第一歩となるように思われる。列聖は聖俗のコミュニケーションの結節点であり、その意味で今後の教会史・国制史の研究に寄与する可能性を備えているといえよう。ベネディクトゥス14世『神の僕の列福と福者の列聖』によって列聖は制度として体系化されるに至る。この間に大量に作成された列聖関連文書の一件書類は歴史研究の蚊帳の外に置かれ手つかずで残されている。先行研究で看過されてきた列聖関連文書の史料としての可能性を明らかにし得たという点も本研究の貢献のひとつである。
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