研究実績の概要 |
本年度は単著、"Die nationale Reprasentation in Berlin um die wende zum 20. Jahrhundert."を執筆し、この論文はYuko Nakama(Hg.), Aufbruch der deutschen Moderne und die Kunst in Berlin, Kyoto 2020.に掲載された。ここではベルリンにおける歴史的時間/空間が記念碑の展開を通していかに変容し、それが国民国家と国民の変容と密接につながっていることを明らかにした。とくにモダニズムという新しい時間/空間表象の芸術表現がもつ意味に焦点を当てた。 また、産経新聞(2021年3月14日)に書評「アネッテ・ヘス著『ドイツ亭』」を執筆した。ここではアウシュヴィッツ裁判を扱った小説が、ホロコーストという歴史的犯罪の記憶を通してドイツ国民を形成していく社会・文化・政治的機能をもっていることを明らかにした。 さらに、ドイツ現代史研究会主催のシンポジウム「ドイツ統一」(2021年1月24日)でコメンテーターを努めた。そして、国際言語文化研究所の主催の書評会:柿木伸之著『ヴァルター・ベンヤミン――闇を歩く批評』(2019年、岩波新書)を2021年3月20日に開催し、執筆者に加えて、長澤麻子(立命館大学・文学部)、北條勝貴(上智大学・文学部)を論者に迎える研究会を組織し、司会を務めながら、この時間/空間の問題を扱った本書に対して論評し、ヴァルター・ベンヤミンの哲学が時間と空間の変容を考察するうえで重要であることを説いた。
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