研究課題/領域番号 |
20K01077
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
新里 亮人 熊本大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教 (20849319)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 琉球列島 / 農耕伝播 / 土器圧痕調査 / 舶来食器類 / 在地土器 |
研究実績の概要 |
琉球列島の農耕成立過程解明に向けた関連資料の収集によって、奄美大島、徳之島における対象遺跡の構造的把握および遺物出土状況の再検討を行なった。その結果、下山田Ⅲ遺跡(奄美大島)、中組遺跡(徳之島)、前当り遺跡(徳之島)、大セノ嶺遺跡(徳之島)にて確認された11世紀前半の在地土器(くびれ平底系土器の終末期型式であるⅣb‐2類)、徳之島産カムィヤキ、九州産滑石製石鍋の共伴関係が型式学的、層位学的に確実であることを実証し、これらに炭化穀類(イネ、コムギ)が伴う状況を確認した。当該研究による成果および将来的な展望については、「貝塚時代後期終末期の奄美‐グスク時代3点セット成立前夜‐」と題した論文を執筆し、近く刊行される予定となっている。 琉球列島における農耕の成立を象徴する九州産滑石製石鍋については、その研究成果と学術的価値の普及に向け、公開講座での口頭発表(オンライン)を行なった。内容は下記の通りである。 新里亮人「石鍋からみた九州と琉球列島」『岡山大学埋蔵文化財調査研究センター公開講座 考古学と関連科学 第15回 高級調理具「石鍋」からみた古代・中世』(期日:2022年1月22日(土) 14:00~16:00、場所:オンライン) また、依頼を受けた『第60回記念黎明館企画特別展 ほこらしゃ奄美~海と山の織りなす島の世界~』での講演「文化の窓口‐奄美‐」にて、琉球列島グスク時代の土器文化が貝塚時代後2期の奄美における土器文化を一部継承しながら成立したことを紹介し、農耕文化の導入において当該地域の動向が重要であることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症拡大のため島嶼域での実地調査が実施できていない状況が継続し、移動を伴わない関連文献の収集および既存成果の整理と更新を中心とした研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
残り3年の研究期間中で喜界島、奄美大島、徳之島、沖縄本島、石垣島での土器圧痕調査を実施しつつ研究成果の論文化を進め、最終年度に総括報告を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症蔓延により実地調査ができず、旅費および謝金が執行できなかったため。
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